第四話 【動いていた者 動いていなかった者】
サブタイの意味は汲んでいただけますかね・・?
説明するのもちょっと気が引けるんで、判らない方がいれば感想の欄の「一言」の所か、活動報告にでも書いてください。答えますよ。
やっと!やっと!やっと!戦争が始まります!
まだ戦場へ突入する訳ではありませんが(´・ω・`)
堅~い前置き部分が終了した感じです。
どことな~くさりげな~く一瞬だけジャックの過去を匂わせるような文が・・・って、これも言っちゃいけないリストでしたかね(苦笑)
それでは、THE・暇潰しタイム。
ジャックは、呆然としていた。
コイツの・・・凄さに。
抜群の五感に、圧倒的な力。
もはや虫じゃないと言い切れそうな頭脳。知能。
全てが桁外れなコイツに、俺程度で話し相手になるんだろうか?
そんなことを考えている内に向こうから話しかけてきた。
「やぁ。罠師さん。中々楽しませてもらったよ。この枝が鉄棒だったら僕はまだ檻の中だったろうね」
声が低いくせに随分陽気な雰囲気振りまいてやがる。
褒めてるつもりなんだろうが、説得力が無い。
この口調からして、コイツは恐らく鉄棒すら挟みきるのだろう。こん畜生が。
尚も奴は言葉を繋げる。
「ああ、言い遅れたけど。僕は見ての通りコクワガタのウィズってんだ。よろしく!」
嗚呼、声のトーンと低音が恐ろしいくらいに釣り合ってない。
これが声高かったら好印象だったろうな。うん。残念。
「・・・」
「どうしたぃ?」
「いや、別に。俺はジャック。宜しく」
警戒心丸出しのジャックを訝しげに見た後、侵入者――コクワガタ――ウィズは続けた。
「僕だったら、巨大な葉っぱを器にした奴は地下にも沈めて、地面にしみこんだ雨水も利用してただろうね。そうすれば簡単に落とし穴にもなるし。地下に落ちて動けなくなった敵に水を落とすのがベストかな、うん」
・・・・駄目だしか?いきなり?
どうやら俺の罠にひたすら駄目だしをしていくらしい。嗚呼、ムカつく。
流石に人間が来る時よりゃぁマシだけど、性質悪い奴は虫にもいるんだなぁ・・・ああ・・・
ウィズの駄目だしは続く。
「それで、あの白いネバネバの液体だけど――」
ん?触れても無いのに何でネバネバって判るの?ねぇ?何で?
「あんなに大量に撒かなくても、一箇所に集めておけば人間は好奇心にかられて《これ、何だろう》って自分から踏んでくると思うよ。資源も少なくて済むし、その方が効率的だよ」
何でコイツ人間の気持ちとかわかんの?気持ち悪ィ。
「で、大岩だけど、島の海岸に乗り上げた時にバレるよ。あの高さじゃぁ。しかも流石の君でも押して転がせても持ち上げて投げることはできないでしょ?固定された崖の上からじゃ着地範囲が限られてて、逃げようと思えば人間は簡単に逃げられるよ。もうちょっと多めに用意するべきだね、大岩」
もう駄目だ。こいつ怖い。
この場から逃げ出したい衝動に駆られたぞ。もうやめてくれ。お前。
「って、なんかごめんね。文句みたいで。僕、迷惑かな?」
ああ。かなり。迷惑以外の何者でも無いぞお前。
でも表面上取り繕っておかないと。第一印象は今のうちならある程度更正が可能だ。
「いや、別に。大丈夫。気にしなくていい。うん。いい」
やばい。恐ろしくぎこちない・・・。
「良かった・・・。それと、勝手に君の島に入って悪かったね。そっちも謝るよ」
通ったぁぁぁぁぁ!!!何だコイツ。大切なものが一つ二つ外れてんじゃねえか?
「で、お前は何?ただの迷い子・・・には見えないんだけど」
で、ようやく真面目な(これまでも結構真面目だったのだが)話に入る。
ウィズがこの島の西海岸に到着した時からの疑問だ。
もしどっかの国で住処を人間に奪われた悲しい奴だったとしても、こんな所に奇跡的に着く訳も無い。
それに、何の迷いも無くザッザッと森林の中へ一直線に歩いていっていた所を見ると、この島に何らかの用があることは間違いない・・・・だろう。
そんな俺の問いに、ウィズはこう返してきた。触角を意味ありげに震わせて。
「ああ・・・単刀直入に言うよ。《僕の目的は、君を連れて帰ることだ》」
「・・・は?」
え?何言ってんの?コイツ?
な訳無いじゃん。俺はこれまで誰に見つかることも無く独りひっそりと暮らしてたんだぜ?
存在そのものを知られていなかったってのに、どうやってそんな目的建てたんだよ。ええ?
そもそも、俺をお前の家に連れて帰って何させようってんだ?まだお前、俺の特徴とか、何が得意かとか絶対知らないだろ。
「ああ、ごめん。ちょっと言い方間違えた。僕の目的は、《未確認の兵士を探し、雇い入れること》、だったね」
「・・・尚更判んねぇんだけど」
ジャックが零した。
兵士?は?何のこと?雇い入れる?俺そんな仕事持ってたっけ?
全て意味が判らない。これは、全部、最初から最後まで話してもらう必要がありそうだぞ。
「んんっとねぇ・・・どこから話したらいいかな?君は今世界で起こってることをどれくらい知ってるかな?」
最初から話してくれ!最初から!
世界の何を知ってるか?一つくらいっきゃねぇな・・・
「世界中の緑が減り続けてるってこと・・・くらいだけど」
「うん。まぁそれだけ知ってれば大分省けるね。じゃ、説明を始めるよ・・・・」
それから長々と、ウィズの説明は続いた。
内容は、ジャックが飲み込めたのはこんな感じ。
・現在、環境問題を理由に虫類と人類は長期に渡って戦争状態が続いている。
・虫側は一つのグループを結成し、人間と戦っている。
・そのグループ名は「BRT」(バグリベリアス・トループス)。
・反乱軍リーダーが、今俺の目の前にいる虫物、ウィズ。
・BRTは総勢5億名の虫の集まり。
・まだ兵士(仲間)を増やしたかったらしく、まだ誰も踏み込んだことの無い、この島を世界地図の中で見つけたウィズは、自ら「もしかしたら仲間になってくれる虫がいるかもしれない」と思い、単体で乗り込んできた。
・・・とのこと。
ジャックは一度に頭の中に知識を捻じ込んだので半ば混乱状態だったが、持ち前の優れた理解力で暫くすると冷静さを取り戻した。
「・・・要するに、お前がここへ来たのは、BRTへの勧誘?」
「そういうこと。だから最初に言ったことに繋がるんだよ。君自身は、どうなの?」
「何がだ?」
「その、何も考えずにただ僕達の住処を削り取っていく人間に憤りを感じない?戦って奴等を止めたいと思わない?もっと言うなら・・・奴等を絶滅させたくないかい?」
最後は恐ろしげな口調だった。一瞬、その語気にジャックが計り知れない恐怖を覚えた。
・・・ここまで言うのだ。人類絶滅をここまで願い、戦争までおっぱじめようとした最初の奴が、今俺の目の前にいたのだ。
初めて、その実感が沸いた。
こいつは、自分の腕だけで世界中から虫を集めに集めた。
他の虫達がこいつについて行くのは、単にウィズの意見に賛成だから、というだけではないだろう。
統率力。リーダーシップ。コイツは明らかに《虫の上に立つ資質を備えている》。
今、言葉こそあまり力を感じないものの、ここでもしジャックが断れば、殺されるかもしれない。
そんな根拠の無い殺気まで感じ取った。
が、断る理由は無かった。
自分自身人間に強烈な憎しみと嫌悪感を抱いていたことは事実。
・・・復讐できるなら、《あの時》の仕返しができるのなら、好都合すぎる程だ。
そもそも、人間に怒りなど感じていなくても退屈極まりない人生を送っていたジャックは好奇心でBRTに入隊していた筈だ。
「・・・ああ。入る」
「本当?」
「ああ」
「本当に本当?」
「くどいぞ。入る。俺はBRTに入る」
次の瞬間、ウィズが心から嬉しそうな表情へと変わった。
両者は、どちらからともなく前足の一本を前に突き出し、拳を突合せた。
交渉、成立だ。
この瞬間、ジャックのBRT入隊が決定した。
ジャックの【第一次虫人大戦】が始まったのは、今日、この時間帯、この位置だったのである。
ウィズ、新キャラ登場です。
まぁ前話からいましたが(笑)
あくまでも名乗ったのはこの回、という意味での「登場」ですかね。はい。
使う言葉は柔らかいけど中身は死ぬほど重そうな、野心溢れたコクワガタです。
勿論、枝を真っ二つに折っちゃうくらいですから、この3000年で進化を繰り返して、最新型コクワガタとなっております(笑)
無論ジャックも、ですが。
次話はジャックが自分の世界から離れる、旅立ちの話となります。
お楽しみに・・・っという台詞を吐きたいところだったんですが、楽しみにしてくれる方が皆無という悲しい状況(´・ω・`)
ここのところアクセス数は1~2しか出てませんからね。
前回の更新の時も翌日6しか(ry
地味に書いていきますよ・・・フッ。
それではSAYOUNARA。