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【虫人戦争】  作者: R
12/15

第十一話 【作戦会議/再度VS人間戦開始】

ウィズ君率いるBRTは動き出してます。

ようやく戦争っぽくなってきましたぁっ!!

・・・・ですが、主人公は相変わらず関わらない(´・ω・`)

可哀想です(笑)


駄文で暇潰しタイム開始のゴングが鳴りました。

「人間共はこの基地の30km先に軍を率いて屯している。多分あの砂漠を戦場にしたいんだろう。まぁ当然って言えば当然だけどね。この森は罠だらけだから。それで、僕達の方から攻めて来るのを待っているんだろう。ま、僕等は行かないけどね」


ウィズが冷笑する。短くも力強い漆黒の角をカチカチ鳴らして隣に尋ねる。


「今回の軍は総勢何万くらいだい?」


尋ねられたアオカナブンは淡々と答えた。


「軽く見積もって300万程度です」

「やっぱり少ないな」


またしてもウィズは苦笑する。


「多分向こうからしたら威嚇のつもりなんだろうね。だって本当は100億くらいの兵士がいるんだもん。全面的に仕掛けてくるなら一気に50億くらいもってくる筈だ。なのに300万ってのはこっちの勢力と罠にビビってる証拠だろう。おもむろに兵を減らしたくないってことか」


ウィズの反対、背中側にいるオオクワガタが人間共を嘲笑した。

続けてその隣も、隣も、と嘲笑の輪は広がっていった。


「たかが300万。威嚇になるかっての。向こうの軍の大きさくらいとっくに知っているんだから。偵察隊は気づかれなかったみたいだしね。君達のおかげで人間共を振り回すことが可能になったよ。改めて礼を言うよ第十二ハエ隊」


ウィズが輪の中で一番小さい虫を賛美する。

礼を言われたそのハエは小さな翅をちょっと揺らして自慢気に胸を張って見せた。


「向こうはこっちが勢力を知らないと思ってるらしいからね・・・利用できる」


ウィズは一度言葉を切る。


「だから、今回はこちらの半分の勢力を出せる訳だ。こっちは2億の勢力をもって300万を捻り潰し、そのまま人間の巣に向かう。そこでようやく一週間前のオオクワガタ隊の仕掛けた罠が功を奏する訳だ。礼を言うよ」


オオクワガタはそれに答えるように軽く頭を下げる。


「人間共の巣のど真ん中にある直径2kmの巨大殺虫剤タンクの上に巧妙に仕掛けた丸太を打ち落とす。そうすれば人間の武器の20%は削れる。しかも、殺虫剤は人間にも多少毒性が効くようだから、軍の3%くらいも同時に消せるだろう。ただ問題は――――――」


ウィズは吐息をついてその「問題」を口にした。


「誰が《紐を切るか》だね。最初はオオカマキリ隊にやってもらおうかと思ったんだけど。君等は見つかりやすいからね。一匹でもその色だから紐切る前に見つかって撃たれて即死だ」


オオカマキリが息を呑んで顔を顰める。


「・・・でも、細い紐を切断できるのは俺等くらいなんだゼイね・・・」

「そう。クワガタ系は太いものを切断するのが仕事。紐みたいに細いものはいくら挟んだって角と角の間に隙間が出来ちゃって、切れないんだ」


ウィズも顔を顰める。


「まぁ片方の角だけ使えば切れないことも無いんだけど・・・必ず切った虫のどこか一部に力が入りすぎて、壊れる。しかも、クワガタ系は大抵デカいから見つかりやすい。クワガタは大概黒で昼間出現するとバレるけど、夜中なら一応周りにカモフラージュできる・・・けど、夜は人間のガードが堅い。迂闊に近寄れないんだ・・・・」


その場に沈黙が流れる。

聞こえるのは基地外の鳥の鳴き声のみ。

誰もがいい方法を考えている中、一匹の虫が閃いた。

・・・・スズメバチだ。


「・・・・・堂々と大勢で行けば?」

「「「「え?」」」」


一気に視線が集まってたじろぐも、スズメバチは果敢に自分の意見を貫く。


「大勢で行って交戦状態になれば人間共はこちらの最終目的に気づかないでしょ。ドサクサに紛れてオオカマキリ殿が紐切っちゃえば・・・さ」


一瞬全員が呆気に取られたが、総司令官のウィズが口を開いた。


「それは――――300万の軍勢を破ってそのまま全員で突入するってことかい?」

「(コクン)」

「でも、そうしたらこちらも多大な犠牲を払うことになるんじゃないかな・・・?」

「・・・でもそれは、仕方が無いこととして切り捨てるしか無いと思う。っていうか、人間共も真昼間から私達が仕掛けるなんて思ってないだろうから、不意打ちができるんじゃないかと思って。そうすれば被害は最小限に抑えられるんじゃない?」


スズメバチの羽音と一緒にあふれ出る言葉にその場に居た全員の表情が変わった。

納得顔、だ。

次々とその意見を支持する賛成意見が叫ばれた。


「確かにそうすればこちらに100万くらいしか被害が無いゼイ」

「紐切るのも一番最初に不意打ちで行っちゃえば向こうは度肝抜かれて攻撃できないんじゃね?」

「ああ、一番簡単な方法だな」

「ここでオオカマキリ失っても困るし、だ」

「・・・これでいいじゃん」


一通り叫びが終わったところで総司令官の顔を全員が伺った。

思案顔のウィズはそこで口を開いた。


「ああ、僕もそれでいいと思うよ。中々いい方法じゃないか。でもここはやっぱり公平に多数決で―――――スズメバチ、クルウの意見に賛成の虫!!」


―――全員、その場で角を上げたり飛んで見たりと、賛成の意思を表した。

満場一致だ。


「――――うん、これで決定とする!!三億の勢力の出陣準備だ!!!明日の正午、出陣する!!!」

「ウオオオオオオオオオオオオッ!!!!!!」


鬨の声が建物内、いや外の虫軍、森全体にまで響き渡った。

森からカラスの集団が飛び立ち、同時に砂漠に屯する人間300万の兵が立ち上がった。



開戦まで残り19時間――――――――――


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


「んあ・・・?」


俺は今ここに立っている。

すでに砂漠を抜け、人間の巣の脇を通り、山を登り始めてからの中間地点にいる。

・・・・で、目の前に、コイツラが居た。


「・・・おいっ!虫だっ!!」

「本当かっ!!仕留めるぞっ!!!」

「いけぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

「うおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」





人間、五人。変な形の缶を持った人間が五人、俺の目の前に居た。





「―――――めんどくせぇなおい・・・・ま、受けて立つけどさっ」

次回はBRTの方も、ジャックの方も、戦闘の回になります。

憎き人間の理不尽な勢力図を前にしながらも、虫達は戦います。

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