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龍蔵がしっかりと服を着たカオルとともにグラウンドへと向かうと、隣のクラス含めすでにほとんどの生徒が各々整列することなく集まっており、その中に知り合いがいたので、声を掛けておこうと、そちらへと向かうと、彼女もこちらに向けて大きく手を振ってきた。


「あっ、龍蔵……とオマケ。」


「誰がオマケじゃ!あ゙あ゙ん!」


「アンタよ!アンタ!どうせまた龍蔵に迷惑掛けてるんでしょ!!いい加減、龍蔵から卒業しなさいよ、変態!!」


こうカオルに辛辣な言葉を飛ばしていく彼女は夏希。


龍蔵たちの幼馴染で両親が喫茶店をやっている。


現在、父親が美少女化したことにより、看板娘は引退し、その顔立ちの整った中性的なルックス(胸が大きい)から、陸上部が休みの日はイケメン店員として活動している。


「へ、変態…だと…ポッ。」


「…りゅ〜ぞ〜。」


そんなカオルのキモいとしか言いようのないドM的反応に、夏希が困った顔をしてくるものだから、今日の…というか、最近のカオルの変態的行動があまりあると認識していた龍蔵は、ここらへんで少し引き締めを行うことにした。


「はいはい、わかったわかった。カオル、いい加減にしないと()()()痛くするぞ。」


そう龍蔵がそれを言葉にすると、カオルはその意味を即座に理解したらしく、ビクリと身体を震わせると、背筋までピンと伸ばし、直立し、イエッサー!と敬礼までしてみせた。


「はいっ!わっかりましたっ!!」


そうして、この場は収まり、しばらく楽をできるのでは?なんて龍蔵が甘いことを考えていた矢先、再びこの2人は厄介さんを運んできたのだ。



それから20分ほど。


すでに授業が始まっており、今日は身体能力測定だった。50メートル走に、ハンドボール投げなどが屋外で、室内ではシャトルラン以外の長座体前屈、反復横跳びなどが行われており、友人とそれを競い、ジュースを賭けるなんてことは、もう誰でもやることなので教師から注意すらされない。


そして、競うイコール勝負であることは言うまでもなく、それには勝者と敗者という格付けが伴うのだ。


「っ……。」


地面に手を付き、項垂れる夏希。


そして、勝利のVサインを掲げるカオル。


そんな様子に世間様…というか、この場にいるほとんどの者が驚きを露わにしていた。


そう…実のところ、カオルは滅茶苦茶運動神経が良い。


なにせ龍蔵がお仕置きするようになるまで、小学生の頃は誰も彼を捕らえることができなかったのだ。


いや、正確にはできないことはなかったのだが、それは大人であり、当時のカオルは現在より数倍クズだったので、泣き落としや嘘などの演技でそれをやり過ごし、誰もその矯正をすることができなかった。


当然正義感の強い夏希もそれに含まれており、おそらく彼女は成長し、彼が美少女化したこともあり、勝負になると踏んだのだろう。


「ぐぬぬぬっ…。」


憎々しげに…しかしながら、どこか絶望を孕んだ様子でカオルを睨みつける夏希。


そんな2人の様子が気になり、(現在、男性が少なくなり、体育の授業をどうするべきか国が決めかねているため)真面目に見学していた龍蔵がそちらへと向かうと、脇目を振らず夏希が泣きついてきた。


「龍蔵!助けて!!このままじゃ、私、凌辱されちゃう!!」


「…は?」



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