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腐龍1

「(これは速いな)」


 僕たちはキャンピングカーで森の中を進む。

 時速40km程度でバリバリと森を

 開削していくのだ。


 乗り心地も最高級で、

 この荒れた開削路面を

 まるで高速道路の上のように走る。

 

「それに、豪奢な室内ですね。これほど質の高い内装を私は見たことがありませんわ」


 今回はシスターも同乗している。

 僕は大張り切りだ。


「フニャー。ミャー」


「(アキラ、猫たちも騒いどるで。腹減ってるみたいやな)」


 猫は30体ほど積んできた。

 結界を強化するためだ。


「じゃあ、追加チェーン店のメニューでいってみる?」


「(新メニューはわからんからな、アキラ、選んでくれんか)」


「うーん、数がありすぎて困るな……新◯サボテンの北海道産 雪乃国ロースかつ御膳なんてどうだろう」


「(豚のフライか?ええやんか)」


「あ、私はカロリー少なめでお願いします」


 シスターはまだダイエット作戦決行中だ。


「では、ロイヤルホストのアボガド&シュリンプサラダとコーンスープ、それと紅茶でいかがですか?」


「はい、それでお願いします」


「シスター、僕たちアホみたいに食べますので、ごめんなさいね。あと、KFCのオリジナルチキン10ピースを5箱。僕とラグに一箱ずつ。3箱を猫たちにもおすそ分け。それと、増量カリカリにチュール」


「フニャー!ミャー!」


「あと、僕とラグに吉◯家肉だく牛丼」


「(牛豚鶏揃い踏みやな)」


「いつも思いますが、食べる量が凄いですね」


「あはは」


「(ワテらは食べんとすぐに腹が減ってまうんや)」


「でも、太らないのですね。うらやましいというか、そのテーブルの上の賑やかさをみると、ちょっと胸焼けしそうですわ(笑)」


「野草茶で脂肪分を洗いながしますから大丈夫ですよ。多分」


「でも、私ももう少しいただこうかしら。サラダだけだと、あの強敵に太刀打ちできなそう」


「(せやで。まだ敵とは距離が離れとると思うが、それでもビリビリするような圧力を放っとる)」


「うん、僕にも感じるよ。こりゃ、エネルギー充填しないと」


「(もうちょっと追加注文しとくか?)」


「なんでもどうぞ!」


 ◇


「(アキラ、近づいてきたで)」


「ああ。ちょっと半端ないね。車がブルブル震えるような波動じゃないか」


「邪悪さも半端ないですね」


「(ああ、領主戦のときよりも数段邪悪やな)」


「車は森に囲まれてるから、視認できないのがちょっと困りものだな」


「(アキラ、どこかで空き地を作ってそこで迎撃してはどうや?)」


「ああ、それはいい考え。敵が数kmにまで接近したら、見晴らしが良くなるようにするよ」


 ◇


「(……いよいよやな)」


「うん。敵は5kmほどにいる。こっちに近づいてきてるね。このあたりで迎撃するか」


「(よっしゃ、うわっ!)」


 突然、車が激しく震えたと思ったら、

 ダッシュボードが火を吹いた。

 そして、黒い霧で覆われて視界が0になった。



「(おい、みんな大丈夫か?)」


「シスター、大丈夫ですか?」


「私は大丈夫です。猫ちゃんは?」


「ふにゃ!」


 しかし、猫結界が破られていた。

 猫たちもショックを受けた顔をしている。

 ダッシュボードからの火が収まらない。

 車内のいろいろな設備もフリーズしたみたいだ。


「30体の魔猫結界を破壊し、防御力の高い車にダメージを与えたのか」


「(車がダメージを受けるなんて、初めてやな)」


「ピー、ピー、修復モードに移行します」


 車からのアナウンスがあり、

 火は急速に消え、動かなくなった設備も

 次々に起動していった。



「修復モード完了。続いて、エマージャンシーモードに入ります。【究極防御】を車に追加しますか」


「え、究極防御?そりゃ、当然【YES】!」


 すると、車の窓が鉄板で次々と覆われていった。


「物理攻撃無効、魔法攻撃無効、状態異常無効。完了しました。効果は30分継続」


「おお、防御レベル、確かに究極だな。これで最強の盾で俺達は守られている」


「(効果は半時間やで)」


「外が全然見えんぞ」


「アキラ様、このモニターは?」


 シスターは車に何度も乗っているので、

 地球の設備にもある程度の知識ができている。


「えーと、あっ、これで外の状況を見ろってことだね」


 モニターはダッシュボードに一つ

 それから車の運転席の後ろに大きなのが一つ。


「ボタンは……これか」「ポチっ」


 すると、いまだ黒い霧に覆われている外部が

 モニターに映った。


 しかし、それも僅かな時間であり、

 すぐに霧が晴れてきて外部の状況が

 明らかとなった。


「「「!」」」


 僕たちは恐れおののいた。

 まず。

 おれだけ視界を遮っていた森林が見渡す限りの

 荒れ地となっていた。

 そして。

 遠近感をあざ笑うかのような巨大な何か。



「(どういうこっちゃ?)」


「私の想像では、敵の攻撃で森林が禿げ上がったのではないかと」


「どういう攻撃なんだ?見渡す限りの荒れ地になっているじゃないか」


「これはおそらく、バイオ魔法。森が腐食したのではないかと思います」


「(シスターの言う通りや。それも半端ない攻撃をしかけてきよったんや)」


「では、あの巨大な物体は?」


 まだ5km先にいるのだろう、

 遠くでうごめく何かは皮膚がただれたような、

 酷い様相を呈していた。

 そして、その形は龍だった。


「(エンシャントドラゴンのゾンビか?)」


「ちょっとまってよ。ドラゴンゾンビって、あんなに巨大なわけ?頭から尻尾の先まで100m以上はありそうに見えるよ?」


「私にもそう見えます」


「ワテもや。そもそもエンシャントとは言っても、長さは50mぐらいのはずや。あれは規格外やで」



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