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街に向かう~冒険者に遭遇した2

 しばし休憩のあと、1時間ほど走ると

 大騒動の現場に出くわした。


 どうやら、盗賊に襲われてるようだ。

 だって、襲ってる奴らが見るからに悪人ぽい。

 レーダーにも赤点が点滅してるしね。



「みなさん、武器をしまって」


 僕はサンルーフから顔を出して呼びかけてみる。

 ちょっと僕、間抜けかな?


「おお、こいつら盗賊なんだ。ヘルプ頼む」


 ヘルプって言っても。

 30人ぐらいが入り乱れている。

 この中に入り込むのは大変だ。


 レーダーで見てみると、

 どうやら、赤点の盗賊側は20人ほどいる。

 護衛は10名ほどでかなりの劣勢だ。


「了解。盗賊のみなさん、武器を仕舞わなければ攻撃しますよ」


 一応、警告した。

 まあ、従うはずはないよね。

 それどころか、こちらを弓で攻撃してきた。


 これは1名ずつ慎重に排除だな。

 僕はアサルトライフルで狙いをつける。


「発射」「ギャー」


 腕か脚を狙って射撃する。

 それて顔とか胸とかにあたってもごめんね。


「ギャ」「ウギャ」「くそ、ギャー」


 あっという間に盗賊の手足をぶち抜いた。

 さらに抵抗しようとする輩には可愛そうだけど

 額をぶち抜かしてもらう。


 ああ、大量のゴブリンや狼をやっつけたせいか、

 僕も随分と無慈悲になったもんだ。

 悪人とはいえ、人を殺しても平気だなんて。

 自分のことながらちょっと恐ろしい。

 心も異世界モードのようだ。



「こ、降参する、攻撃しないでくれ」


 盗賊が武器を投げ出して地面にひれ伏した。

 すぐに護衛組が盗賊を縄で拘束する。


「大丈夫ですか」


 僕は車から降りて護衛に声をかけた。


「おお、助かったぜ。危ないところだった。僕たちは商人の護衛についてたんだ。そこを狙ってきた。怪我はちょっとやられちゃったな」


 車にぎょっとしながら護衛はそういう。

 いやいや、ちょっとどころじゃないでしょ。

 傷口ざっくりいってるし、弓も何本か刺さってる。


「すぐに治療が必要なレベルじゃないですか。回復薬かけましょうか?」


「ああ、そうしてくれると助かる。戦闘中に使い果たしてしまって」


「じゃあ、傷口出して」


「へえ、見慣れない容器なんだな……なんじゃ、こりゃ!あっという間に傷口が……上級回復薬か!いや、そんな高価なものを」


「いやいや、高価なもんじゃありませんからお気になさらず」


 だって、キズぐすりマ◯ロンだしね。

 一個500円?ぐらいなんだ。



 すると、馬車から恰幅のいい男性が出てきた。


「ああ、危ないところをありがとうございました。私はこの先のセリア街で店を開いておりますローリア商会のローリーと申します」


「はあ、僕はアキラっていいます。ご無事ですか」


「お陰様でかすり傷ありません。それにしても、凄い薬をお持ちなんですな」


「ああ、僕たちが作ったんですよ」


「薬師様でいらっしゃるので?」


「そんなところです」


「ふーむ。高名な薬師様とお見受けいたします」


「いや、まるっきりの無名です。山奥から出てきたばかりです」


「なるほど、山で修行されていたと」


 ある意味、僕たちは修行してたよね?

 適当に相槌をうち、話を続ける。


「ところでこのなんと申しますか、大きな箱は?」


「ああ、馬無しで走る車です。魔法です」


 適当言い訳ワード、『魔法』。


「ほう。そうなると、薬師様というだけではなくて、大変な魔導師様でもいらっしゃるんですね」


「そうだぜ、こんな大きくて透明なガラス見たことねーな。それに車体が金属製か?車輪も見たことのない素材だし」


「いてっ!」


 護衛の一人が車に近づこうとして結界に拒まれる。


「ああ、結界が張ってあるんですよ。注意してくださいね」


「ふえ、結界か。上級魔法なんだな」


「ええ、実は車ともども森の大賢者様の魔法が込められていまして」


「森の大賢者様?森の守り神様であられるお猫様のことですかな?」


 おお、ここでもラグのことを知っている人が。


「ええ。そうも言われているみたいですね」


「だから子猫が屋根にたくさんいるのか」


 護衛の一人が笑顔で屋根の猫を見ている。


「彼らは大賢者様のしもべです。強力な結界を張っているんですよ」


「おお。ひょっとすると、車内で寝ておられるお猫様、守り神様なのか?」


 ローリーさんがそういうと、護衛の人たちも

 車の中を覗き込む。

 ラグはダッシュボードの上で寝ていた。


「ああ、そうです。お昼寝中ですね。ああなるとしばらく起きません」


「「「ははー」」」


 村と同じ反応だ。

 いきなりみんな地面にひれ伏している。

 ラグはかなりリスペクトされてるんだな。


 でも、魔法とか守り神様とか説明に便利なので、

 今後も使わせてもらおっと。



「なんにしましても、お礼を申し上げなくてはなりません。街にお寄りになりますか?」


「ええ、そのつもりですが」


「では、冒険者ギルドに盗賊を突き出しますので、その報酬と私どもからもお礼を申し上げたいと思います。店にご足労願えませんでしょうか」


 報酬、お金か。

 当座のお金は欲しいよね。

 食う寝るは困らないけど、衣類とか用意したいし。


「ああ、わかりました。お伺い致します」


「お手数をおかけして申し訳ございません。ローリア商会の場所は東門の正面にありますので、街に入ればすぐです」


「はあ、では護衛がてら街まで一緒に行きましょうか」


 こうして、街までの10kmほどの距離を

 馬車の後ろについていくことにした。


 20人近くの強盗も一緒なんだけど、

 一応怪我をなおしておいた。

 そうじゃないと、歩けないからね。


 でも、ちょっと後悔した。

 馬車の後ろについていくことに。


 車を時速5kmで走らせるのは苦行なんだよ。

 時速20kmでもイライラするのに。



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