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キャンパー、転生する

 トンネルと抜けると雪国だった。

 という有名な小説がある。

 僕の場合は、トンネルを抜けたら異世界だった。


 ほら、トンネルを抜けるときって少し眩しいよね。

 僕もほんの一瞬まばゆい光で目がくらんだ。

 と思ったら、次の瞬間、広場にいた。


「へ?」


 確かに僕は車を運転してたはずだ。

 眼の前にはトンネルから続く道路があるはずだ。


 でも、車は全く動いていない。

 エンジンが止まっている。

 そして、学校の運動場のような広さの広場の周りは

 薄暗い森だった。



 僕は28歳、外木場そとこばアキラ。

 普通の独身サラリーマン。

 平日は少々忙しいけど、

 週休2日制の会社で余暇はたっぷりある。


 彼女のいない僕の週末の過ごし方は、キャンプだ。

 そのためにキャンピングカーを購入した。

 中古だし軽なんだけど、年式が新しく新品同様だ。

 その自慢の愛車でキャンプ場に向かう途中のできごと。



「と、とにかくエンジンかけて。あれ?」


 しかし、キーが見当たらない。

 というか、キーを差し込むところがない。

 僕は少しパニックになり、車を降りようとした。

 

「ピー」「あれ?」


 ドアが開かない。

 警告音がなる。

 音のなる方向、ダッシュボードを見てみると、

 ランプが赤く点滅している。


「なんだ?」


 すると、


『使用者登録をしてください』


 などというメッセージがダッシュボード全面に。


「メッセージ?ダッシュボードに?これ、僕の車だよな?使用者登録?」


 その文字の下には


『手のひらをダッシュボードに付けてください』


 僕は言われたとおりに手のひらを合わせてみる。


『名前を入力してください』

 

 ダッシュボードはタッチパネルになっていた。

 ソトコバアキラ、と入力する。


『使用者登録完了しました。ありがとうございます』


 こんな機能があったなんて、どういうこと?

 僕はいくつも?が頭に浮かんできたんだけど、

 とりあえず、外に出てみなくちゃ。



 ドアレバーを引き、外に出た。

 ところが、何かが僕を邪魔する。

 車から1mちょっと離れたところに見えない壁がある。


『ピー』


 またもや警告音がする。

 運転席に戻ってダッシュボードを見てみると、


『結界を解除しますか』

『結界の対象外に登録しますか』


 この2つのメッセージが。


「結界?」


 またもや、?案件が。

 いきなりおかしな場所に来たことといい、

 僕はひょっとして夢でも見てるのか?


 パネルを操作し、結界を解除した。

 結界の対象外にも登録した。



『よし、これで周囲を見まわれるな』


 僕はドアをあけた。

 瞬間に、猛烈な不快感が襲ってきた。


『ピー』


 僕はあわててドアを閉める。

 またもや警告音か。

 ああ、イライラしてきた。


『魔素濃度が高くなっています』


 そんなメッセージがダッシュボードに現れた。


「魔素濃度?魔素?」


 魔素なんてファンタジー用語じゃないか。


『空気清浄機を作動しますか?』


 とにかく、YESだ。

 しばらくすると、不快感はなくなった。



「なんだよ。外に出られんぞ。しかも、この原因は魔素?僕、頭がおかしくなってないよな?」


 とにかくだ。

 結界を解除すると大変なことになる。

 結界を張らなくちゃ。


 僕はダッシュボードを操作してみる。

 よく見ると、ハンドルについているボタンでも

 操作することができる。


「こんなボタン、ハンドルになかったのに」


 車が高級になったようで嬉しいけど。

 怪異が続いていて、少し感覚が麻痺し始めていた。


 操作すると、メニューがダッシュボードにならぶ。

 初めて見る機能ばかりだ。

 とにかく触っていくと、

 ボイスコントロール機能のあることに気づいた。

 声だけで操作できるのだ。


「何々……ハンドルの音声ボタン長押しして、ビープ音を鳴らすと……」


『ピー』


「そしたら、操作したい項目を言え、と……『結界』」


『結界を張りますか』


「YES」


 うーむ。なぜか英語。

 だって、YES/NOの2択なんだもの。


『結界が張り巡らされました』


 ドアを軽く開けてみる。

 不快感はない。

 清浄機のお陰で空気が正常になったようだ。


 しかし、困った。

 外に出られんぞ。



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― 新着の感想 ―
[気になる点] >トンネルと抜けると雪国だった。 川端康成を引くなら5文字目で速攻間違えないで欲しいです。
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