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笑う河童  作者: 檻の熊さん
7/18


 ここからは、本当に相手の居ないオレ一人の一人語りだ。


 物語には、起承転結っていうのがあるだろ?

 オレは、この転っていうのが嫌いだ。

 意外な逆転、乱調、物語を盛り上げるのに必要だっていうんだよな?

 リアルで考えてみろよ?

 頑張って告白した。

 カップル誕生だ。

 そのまま、彼氏と彼女は仲を深めていき、ゴールイン。続くハッピーエンド。エンドロールが流れて終劇のクレジット。

 これで何が悪い?

 起承結。

 これで、これが、順当ってもんだろ?


 わざわざ転を持ってくる為に、恋のライバルを登場させてカップルの邪魔をさせたり、彼氏や彼女の過去の秘密が暴かれてみたり、中にはヒロインがレイプされたり、間男が現れて寝取られてみたり…って、今どきの恋愛ものはハ-ドすぎだろ!?

 転不要。

 それでも、みんな幸せになれるはずだ。

 なる。

 …なれ!


 オレは、そんな気持ちで笑を見送った。

 これにて終劇だ。

 めでたしめでたし。

 おしまい。

 おしまいだ。


 オレは水から上がるとしばらくその場に留まり、呆けたように何処ともなく視線をさ迷わせていた。

ふと、笑の去って行った川の土手を見上げた。

 笑の去って行った方に向かって、3人の男達が歩いて行くのが見える。

 ヒクリと、オレの鼻の穴が広がったのが分かった。


 ああ…。

 ああ…。

 あああ…!

 よりにもよって、今日なのか。

 今日だったのか。

 臭いで分かるぞ。

 今どきなら、「ファム・ファタール!(運命の女よ!)」とでも叫ぶんだろうか?

 ──いや、笑は悪女じゃないよ?念のため。

 オレは、笑い出しそうになる発作を必死で抑えながら、草むらの中を音も立てずに見つからないように、男達に近付いて行った。



 1980年代とか1990年代には、伝奇小説のブームというのがありました。

 懐かしいですね。

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