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笑う河童  作者: 檻の熊さん
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夏の夜語り3


 日々、楽しい夜は続く。


「う~ん?さらぞうって、やっぱり少し大きくないかな?ネットで調べたら、河童はだいたい4歳か5歳の子供くらいの大きさって書いてあったよ?“わらべ”って言うには…中学校に入ったばかりの、体格小さめの男の子くらいはあるよね?」


「けけけ!ネットの情報を鵜呑みにするのは、いけないな?」


「む…!馬鹿にした。今、馬鹿にしたよね!」


 笑の奴が、さりげなく体を触ってくる。

 なんでも、革製品でも触っているような丈夫な感じがするそうだ。

 ──まあ、耐久性重視のアザラシの毛皮モドキだからな。


「細く見えるのに、わりと筋肉も付いている感じ?」


「水生哺乳類みたいなものだ。毛皮とか皮下脂肪とかで、実際の筋肉の付きが分かり難いんだよ」


「それにしたって、育ってるよね?」


「いや…いやいや!小っちゃい河童っていうのはな。河童の由来を、水難に遭って溺死した子供だの、水子の変化だのに求めた人間達がバラ播いた風評で、実際はちゃんと大人の河童がいて、そこから産まれてくるの」

「今じゃあ、日本人も背が高く成ったから分からないかもしれないが、昔は成人男性でも身長が150センチ台、成人女性なら140センチ台が普通だったんだよ。現代人からしたら小柄かもしれないが、河童の身長もそれくらいにはなる」


「さっすが、おじいさん!」


「やかましい!」

「とにかく、有名な利根川の弥々子河童なんて、豊満妖艶って言うのはあの人のことだってくらいの成熟した大人の女性だったぞ?筑後川の九千坊は、今で言うならゴリマッチョって言われるんじゃないか?身長180センチとかは無理だけどな…あの河童の大親分には子供が9千匹居たって伝わってるぞ?中々の絶倫だろ」


「う~ん…ていうことは、さらぞうは大人の河童?」


「けけけ!子供だって作れるんだぜ、オレ達?」


「作れるんだ…子供」


 ふと、笑から表情が消えた。

 ──やっべえ!

 軌道修正は迅速に…だ。


「まあ、あれだな。今どき水位の無い川が多いから、普通に立ってると臍から上が丸出しになる。お陰で、人前に姿を現すときは、水底に立ち膝付いていたり、首だけ出して後の胴体はくの字にして水没させて…とか、苦労することが増えたな。こんな風に?」


 オレは、一度顔を笑から背け、振り返りざまに変化の術を使って化けた顔を見せてやった。


「ぶっ…!あははは!なによそれ?」


 オレの顔のあまりの変わりっぷりに、笑さん爆笑。

 ──和歌山の河童鬼っ子さん、あなたの鬼の土人形は、今日も人間を笑わせていますよ!


「オレに触れたら火傷するぜ。しっしっ!こっち来んな、あっち行け!」


「う~ん。河童女房とかは…ちょっと、パスかな?」


「みんな初めはそう言うのさ。家に帰ったら、金気の物を口にするのを忘れるなよ!」


「馬鹿ね…!」


 まあ──最後は、笑って別れることが出来たかな?


 いったん小説を完成させた後、分割して毎日の投稿を設定していくだけでも,結構大変な作業なんですね。

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