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真相
オレ達は、一瞬お互いを見つめ合った。
オレはすかさず、土手の草むらの中に、ちょうど刈り終わった後の水田の稲の切り株の間に隠れるキジのように、隠れた。
──神通力で姿を消せって?もう、ガス欠だよ!
「…」
「…」
オレ達は、しばらく無言だった。
オレは草葉の陰から笑を見ているし、笑はオレの隠れた辺りをジッと凝視している。
やばい!動いたら見つかる。
オレは、正に眼前の猟師に見つからないように身を潜めるキジだった。
「えっとな…なんで、引き返してきたんだ?」
沈黙に耐えきれなくて話し始めたのは、オレの方だった。
「遠くの方だったけど、さらぞうと別れた辺りから大きな音がして、気になって引き返して来たの。そうしたら、さらぞうが高笑いしてた」
オレ達が別れて、けっこう時間経ってたよね?
ね?
どうして笑さん、聞こえる場所に居たの?
いや、聞くまでもないのだが…。
オレは、仰々しく天を仰ぎながら…。
ながら…。
ながら…。
「1年と少し前くらいになるのかな、この場所だったんだよ…」
要らぬ語りを、始めてしまった。