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婚約破棄までの1週間はテンプレ三昧。私も幸せになりたい!in 異世界。  作者: 桜鶯
【ストレチア国お城編。婚約破棄で皆幸福】
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お城5日目・タヌキは食用。ネズミは火炙り。

いやーん。アラカルってばもふもふー。ほら!洗ったら綺麗になったじゃない。やっぱりこの子はアライグマよ。日本では狂暴でおバカだからって捨てられたり駆除されたりしていたけど、凄く可愛い顔しているのよ。しかもこの子は長毛でふわふわ。どちらかというとレッサーパンダよりよ。なのに狸って酷い……


ガリッ!ペシリ……


「…………」


このバカタレめ。はむちゅを見なさい!大人しくカゴで寝ているでしょう?良いの?私の躾は怖いわよ?名作アニメのアライグマ〇ス〇ルの可愛さをみっちりと教えてあげる。元の世界でアライグマの本物を見た時、私は騙されたと思ったわよ。アニメのアライグマと全然違うの!アニメのアライグマは、どちらかと言うとレッサーパンダ寄りの可愛さ。アライグマを飼いたかった私はガックリしたわ。しかし異世界のこの子!見た目まんま〇ス〇ルなの!余りにも可愛すぎて頬擦りしちゃう。おバカちゃん程可愛いのよー。


***


教会からの帰り道。かなり気不味い雰囲気で三人でテクテク歩いていたの。私が泣いちゃったからよね。先に買い物をしていた中庭の前を通りかかると、既にお店は片付けを始めていて慌ただしい。そんな喧騒の片隅で、さらに人が密集して何かを騒いでいる。耳を澄ますと狸がどうのと騒いでいるみたい。まさか狸がでたの?覗いて見ると薄汚れた小動物が蹲っている。私は思わず駆け寄りながら叫んでいた。


「キャー! 〇ス〇ルよー!! 」


私の声に静寂が訪れ、周囲のひとびとはかなり驚いていた。しかし私は気にしません。たしかにこの子はアライグマよ。なのにこの世界では狸だという。しかも狸は毛皮を剥がされ食べられてしまうという。このアライグマは中庭に迷いこんでたので、捕獲され調理場に連れてかれる所だった。私はウルウル目でルードに頼んでみる。ルードは胡散臭げな目で私を見ていた。でも私は女優よ!くさい演技も押し通せば本物なの。何て押せ押せで私は可愛いアライグマちゃんをゲットした!まさか異世界で願いが叶う何て!嬉しすぎる!あまりの感動でハッスルする私。


「きっと神様が寂しくない様にと、私にこの子を遣わしてくれたのよ! 神様ありがとうございます! 」


「また大袈裟なことを……狸など城の裏に行けば山程います。目を離すと城の者に捕獲されますよ。狸鍋にされたくなければ、身綺麗にして目印でも付けて下さい。解りましたか? 」


狸鍋はいやー。絶対に離さないわ!


ブラブラ揺られ前に抱っこされたままのアラカル。ギュッと抱え込み部屋への廊下を進む。途中でアニーと別れる。ルードは部屋まで着いてくるという。厨房の横を通り過ぎようとすると、今度はネズミ取りのカゴの中にハムスターが蹲っていた。やだ!もしかしてハムスターもこの世界では駆除されてしまうの?振り返りルードをチラリ。目をそらすルード。そらしたって事は事は気が付いてるのよね?再度そらした目を追いかけ覗き込み視線を絡める。


「お・ね・が・い! 」


胡散臭げに目を細めたリードが、諦めた様に厨房から誰かを連れて来た。


「その狸を料理して欲しいのか? ならば今から下っ端に捌かせるから寄越せ」


恰幅の良い白衣のおじさんが、アラカルを取り上げようとする。ちゃんと説明して!ルードのバカ!


「この子は食べません! 私はこの子が欲しいんです。ハムスターを下さい! 」


アラカルを抱えカゴを指差す私を、不思議そうに見る白衣のおじさん。アラケルとハムスターを交互に見て、納得出来ぬのかウンウンと唸っている。


「飼って非常食にでもするのか? ハムスターは解らんがこのネズミだろ? コイツも確かに食えるが食べる所何て殆どないぞ。まあどうせカゴのままゴミと共に焼却処分だ。欲しいなら持っていけ」


しょ……カゴのまま焼却処分って、まさか生きたまま焼いてしまうの?元の世界でも確かに狸は狸鍋として昔は食べらられていた筈。ハムスターもペットとして認知されていない国では、たぶんネズミと同じ扱いでしょう。異世界の常識=私の非常識。つまり私の常識=異世界の非常識もある訳よね。気を付けましょう。しかしはむちゃんは可愛い。火炙りなんて鬼畜過ぎよ!この子は私の子ね。


「おじさんありがとう。あ! 良ければこれ食べて。でははむちゃんは貰っていくわね」


モフモフちゃんウエルカム。わーい。ルードが何をあげた?みたいな顔をしているから、キャラメルを一粒口に突っ込んで部屋の前で別れた。凄い嫌そうな顔をしていた。甘いものが苦手だったのかしら?ルードも意外に表情に出るわよね?


てな感じで私は大小のモフモフをゲットした。ちなみにおじさんにあげたのはキャラメルとブラウニーよ。召喚された日の午前中の授業、家庭科の実習で作った物。この日はチョコブラウニーとキャラメルを作ったの。彼にお裾分けしようと、一つずつ可愛くラッピンクしたのよ。更には演劇の練習は意外に疲れる。そんな時には甘いものが欲しくなるからとたくさん作ったの。私物の巾着に入れていたんだけど、まさか一緒に召喚されていたとは知らなかった。ある日部屋のテーブルに巾着がちょこんと乗っていた。聞いてはいないけど、どうやらルードが拾ってきたみたい。演劇部の練習時に持ち歩く袋で、中身はタオル、ハンカチ、ティッシュ、栄養補助の菓子バーにペットボトル、手帳とお菓子だったの。以降カバン代わりに持ち歩いているの。


***


アラカルはアライグマの名前ね。アライグマと〇〇カルをくっつけたの。はむちゅはハムスターの名前よ。何と無く響きが可愛いからよ。


洗って綺麗になったアラカルの首に青いバンダナを結ぶ。眠るはむちゅには赤いリボンを結んだ。アラカルはめちゃ嫌がった。でも狸鍋になりたいの?と言ったら大人しくなった。もしかして意味が解っているの?意外にお利口さんなのかしら?


さて少しお昼寝しましょう。起きたらオヤツタイムよ。今日は昼のダンスを夕方に行うため、オヤツ後に踊ることになるのよ。その為にも昼寝しなくちな。さーアラカル寝るわよー。暴れるアラカルを抱き締めベッドに潜り込む。うーん。モフモフ最高ー。


ではでは。お休みなさい。ぐぅ。


***


「おい、起きろ! 苦しい。離せ」


「うーん。離れちゃダメー。モフモフーん」


「モフモフではない。これではいつまでも埒があかぬ。すまんが魔力を貰うぞ」


「んぅ……んんぅ……」


「これは中々に美味だな。極上な魔力だ。私の名はラスティだ。ラスで良い。お前の名は? 」


「んん? ラスティ? ラス〇〇? やっぱり〇ス〇ルー。私はすずよ。あ! すずじゃなくリョウよ。まあ〇ス〇ルだから大丈夫だよね。ムニャムニャ」


「お前的には残念だろうが大丈夫ではないな。これにて契約完了だ。しかし〇ス〇ルって何だ? まあ私も一眠りするか。多分はむちゅとやらも同類だろうな」


何っ!?何でイケメンに抱っこされて寝ているの?いやー。誰か助けてー!!


*****


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