表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
婚約破棄までの1週間はテンプレ三昧。私も幸せになりたい!in 異世界。  作者: 桜鶯
【城下町編。フロックス国境でダービー開始】
45/73

城下町に戻り2週間と1日目。本命馬出走。

隣国のお城のベッドもフカフカで気持ちが良かったけれど、このベッドもフカフカだわ。お布団もだけどスプリングが丁度良いのよ。でもね。アニーは張り切りすぎよ。この新婚さんいらっしゃい状態のお部屋はどうかと思うの。まっピンクのフリフリ。白のレースが救いだけど、フリルの海に溺れそうよ。でも折角アニーが……でも……そうよ!まだお相手がいないから普通にしたいのと誤魔化して変えてしまいましょう。新婚さんになればピンクも良くなるかもしれない。ううん。多分無理……


そうと決まればファブリックを買いに出発よ。久々におばちゃまたちにも会いたいわ。ファブリックはやはり空色よね。若草色も良いかしら?うーん。しかしこのベッドは気持ちが良すぎる。出たくないわ……


「リョウ? そろそろ起きてください。朝ですよ。おはよう……」


うーん。ムニャムニャ。レイン? もう少し寝かせて。この部屋のピンクの洪水に充てられて、グッスリと寝むれなかったのよ。ぐぅ……


「眠り姫はやはり王子のキスがないと無理ですか? リョウ? 朝ですよ。起きないと……」


チュッ。チュッ。チュッ。


うーん。うーん。コロコロ。ぐぅー。


「これは無防備すぎです。しかもその寝間着は……誰に見せる為に着たのですか? 綺麗になったのはその方の為ですか?

しかし見せても良いのは私だけですよ。ほら! 起きないのならば唇にしますよ……」


え?なに?唇って……まさか敵なの?


パチリ。パチクリ!?ガバッ。うわっと!


いやー!寝起きにどアップ!何でルードがいるの?えっ?私はルードではない?ライドですと?ならば尚更よ!なぜ王太子が私の家にいるの?しかもベッドの脇によ!それに今チューもしたわよね?え?唇にはしていないし起こしに来ただけ?それでもノーサンキューよ!皆も何故中に入れたの?寝込みを襲うなんて紳士ではないわよ!


「王様からの護衛の派遣だそうです。この世界の恋愛事情に慣れる為にも使ってくれと」


「レイン! 乙女の寝室に不審者を入れないで! 王太子が何故護衛なの? しかも寝室に入れるなんて酷い……」


「彼を責めないで下さい。私がリョウを抱き締めたかったのです。愛する貴女の傍に来る為、私は一ヵ月頑張りました。これが本来の私です。今回砦で会ったルード以外は全て私です。隣国でダンスを踊った王太子も私。魔法陣に魔力を注いだルードも私。砦のルードには魔力が殆どありません。うっかり洩らしたと連絡を受けました。お気付きになられていたのではないのですか? 」


「何となく気付いてはいたわよ! でも貴方のキャラが変わりすぎなの! 何故そんなに甘々なの? 貴方からの好意なんて、私は微塵も感じませんでしたけど! 」


「私は今まで何となく生きてきました。しかし貴女がこの世界に召喚される事が決まり真実を知ったのです。そして貴女に出逢い運命を感じました。私は自分の心に正直でありたかったのです……」


ならばそのままなんとなく生きていきなさい!私に迷惑をかけないで!


***


ルード改めライドはベッドサイドで語り始める。レインは後は若い者たちにお任せしましょうと言い残し出ていってしまう。貴方はお見合いおばさまですか?しかもですね?私寝間着のままなんですけど?しかもまだベッドの中にいるのです。寝たままの状態で話を聞くのですか?起こしに来たのではかいの?疑問でいっぱいの私の頭をなんとか抑え、ベッドから起き上がろうとしたらそのまま聞いてくれと倒されてしまう。そんな訳で手をしっかりと握られたまま、私は布団を被り聞いています。しかし眠くなってしまいそうよ……


しかし寝たらなにかをされそうで怖すぎです……


しかし話を聞いてビックリ!バッチリと目が覚めました。私が神様にバーチャル体験をさせられた聖女様。実はライドとクリスの母親でした。つまり先の聖女で王妃様よ。真相はあの体験のままで、体験そのものだったのです。ライドはルードとして金髪に髪を染め公爵家で生きて来た。そして本物の公爵家のルードは、王太子の影武者としてライドとして生きて来た。王妃の聖女が亡くなった事により、次の聖女を召喚する神託が下りる。本物の王太子を聖女の婚約者とする為、二人は元に戻る事になる。まあ何故クリスが婚約者に?とかは、細々聞いたけど結局は王の都合よね。策略よ。全く腹黒いわ。つまりバーチャル体験時の最後の違和感。柩に花を供えた金髪兄弟は、王太子のライドが髪を染めたのではかく影武者のルードだったのね。


私がクリスに王妃様の事を尋ねた事で、王家は私が神よりバーチャル体験を受けた事に気付いたそうよ。実はクリスも私が城を去った後、神様に過去の己とアニーとの経験を、アニー側で体験させられたという。実は王妃様が亡くなった後に、王様も王妃様の立場をバーチャルで体験していた。神様ナイス!成程それで反省したのね。


「はい。多分今回リョウが年嵩なのも神が配慮したのではないかと。性格も体も頑丈そうで、私が羨ましいと父王が呟いていました。私はそんなリョウを愛しています。是非結婚して下さい。夜は心配しないで下さい。絶対に無理強いはしません。嫌がられたら必ず止めます。でもリョウから強請られるなら構わないんですよね? そうなる様に貴女に尽くし仕込みます。私は子供を愛したい。沢山欲しい。もちろん貴女にも愛されたいしデロデロに愛したい……」


全くもう!これって然り気なく貶めてるわよね。年嵩で悪かったわね!体はまだしも性格が頑丈って何よ!でも悪気がないから困るわ。子供は解る。母に愛されなかったからよね。でも愛を囁きながら、所々の台詞が怖いのよ。私は強請りません!仕込むって何なの?絶対にヤンデレ化しそうよ。本当ならばすぐにでもお断りをしたいけれど、取り敢えず友だちから始めましょう。


「ヤンデレ化しそうな怖いプロポーズをありがう。取り敢えずお友たちからにしましょう。いきなり結婚はないわよ」


「そんな! 友だちでは頬にチューも出来ませんよ! リョウの前の彼氏は不能ですか! 私は無理です! 」


「…………」


そんなことは知りません。そういうことはムードではないの?キスで友だちから恋人ってのもあるわよね?この世界の常識が恋愛即エッチだから仕方がないの?


「ここはお互い譲歩しましょうよ。私の常識が違うことは理解してくれたのよね? 私はライドが嫌いではないから、お互いを知り合えば先にも進む道もあるかもしれない。デートとか色々しましょう。チューは私が嫌がらない様に頑張って。ムードも必要でしょ?


「リョウ! ならば私は頑張りますよ。先ずは毎朝のモーニングキッスからですね」


「私の常識では、毎朝のキスはありません。それより毎朝って毎日通うつもり?」


「はい? 通いませんよ。私の部屋はそこのドアを開ければリョウの部屋と繋がっています。後にこの寝室が夫婦共用になるのです。流石に今は無理強いは出来ません。泣く泣く今回は隣にベッドを入れましたよ」


ちょっと!何よそれ!そんなドアあったの?ピンクとフリルに気を取られていて、まったく気が付かなかったわ。


今日からいきなり同棲ですか?いや同居よ!護衛だから仕方がないの?


「では改めて。リョウ。朝ですよ。起きて下さい。チュッ。チュッ。チュー。リョウからしてくれるのが楽しみです」


ベッドの端に腰かけ布団を剥がし、私を無理やり抱き起こす。しかもライドの膝に乗せられ抱き締められ、いきなりののチューよ。だからそれは常識ではないといいましたけど!


「ちょっと! それは常識では……」


あら?私が膝に乗っても目線は上なのね。結構背が高いのね。しかも何だか気持ち良すぎるんですけど……背中を撫でる大きな掌が温かくて、なんだか頭がぽわんとしてくる。何だか変な感じがする……


おでこに頬に顔中にキスの雨が降り、背中を撫でる掌が、何時の間にか寝間着の裾を割り浸入している。胸をやわやわと揉まれ、頭を引き寄せられ唇を塞がれた。


「ライド? 」


ぽわんとしたままの頭が働かない。唇を割り何かが浸入する感覚。体を引かれ密着する胸。


「私の魔力はどうですか? 気持ち良くは有りませんか? もしかして声も出せない位に感じてくれていますか? 私は貴女の魔力が心地よく、感じすぎる位です。出来るならこのまま繋がりたい……」


腰をぐいっと引き寄せられ、下半身までが密着してゆく。なんだか体が熱くなって……


「私の昂りが解りますか? このままリョウが欲しい。はぁ……柔らかくて最高です。私は……」


「はい! ストーップ! ストップだよ! 教育的指導ー! リョウ? リョウってば! 大丈夫なの?

余り遅いから心配して見に来てよかったよ。ライドは魔力流しすぎ! わざとなら協力しないよ! リョウが飛んじゃっているよ! 取り敢えずお前は部屋から出てろー! 」


んん?モノク?どうしたの?


「リョウもう大丈夫。取り敢えず着替えて。朝ごはんを食べながら説明するよ。流石にその格好は聖獣でもね。一人で着替えはできそう? 」


「イヤー。なぜ私は半裸なの? いったい何時の間に? 私に何をしたの? 薬でも盛ったの? ライドの馬鹿! 死んでしまえ! 」


この世界では人間同士にも魔力の相性が有るそうなの。聖獣は主の魔力を量と質で選び、主の魔力を心地好いと感じる。それと同じく人間も、魔力の相性が良いとお互いに気持ちがよい。つまり体の相性が良い。互いに魔力を交差し合う事により馴染み、媚薬の様な効果を発し仲睦まじくなれる。


「私とリョウの体の相性は最高なのです。私は神様が言われたのは、ルードとばかり思いこんでいました。なのでつい調べてみたくて! わざとでは有りません! リョウが素敵すぎて間がさしたのです! しかし私が少し魔力を流しただけで飛んだんですよ!

リョウの魔力も私に流して下さい。私は確証しました。もうルードに遠慮などいたしません。これからはガンガン迫りますよ! 」


「止めて! デートからと言ったわよね? 兎に角着替えるから! ルードが残念イケメンになっていて嫌! もとのルードの面影がないわよ! 」


しかしギルマスはこれを知っていた訳?まさか皆はライド押しなの?外堀から埋められているの?


絶対にイヤよ。外堀を埋めるのならば崩してあげるわ!


私はヤンデレな旦那様は要りませんよ!


*****


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ