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婚約破棄までの1週間はテンプレ三昧。私も幸せになりたい!in 異世界。  作者: 桜鶯
【城下町編。フロックス国境でダービー開始】
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城下町から1週間と6日・一応決着。

宰相様から大まかな今回の流れの説明が有り、隣国に迷惑を掛けた謝罪とお礼の言葉を戴く。我が国の国王の方には、後程改めてお礼の使者を送るそうよ。


でも今回って国王は何もしていないわよね。ルードたち騎士団が関係したからでしょうが、王にお礼なんて必要ないのでは?まあ私もクーデターには参加させて貰えなかったしね。襲われていたからね!


***


結論から言えば前王は国境の砦に近い離宮に幽閉。現在ダンジョン跡に、餌とされ亡くなった人々の為の教会が建設中とのこと。教会が出来次第前王の身柄は教会へ移動。前王は監視付きで生涯その教会で祈りを捧げ、亡くなった人々を弔うことになった。草原の檻の中にいた貴族のお偉方も同罪となる。


ごめんなさい。檻の中のお偉方を忘れていました……


ちなみに近くの小屋から、ドラゴン出現のどさくさで逃げ出した人たちも教会送り。ただし此方は命令で働いていた人々のため、期限つきでの奉仕活動となる。行いが良ければ早く解放されるため、日本の刑務所みたいな感じよね。この後私はブラン国王に意見を求められた。


「処罰はこの国がすべき事であり、私が口を出す事ではありません。国民が納得しているのよね? ならば大丈夫なのではありませんか? そういえば前王はまだ城にいるの? 」


前王は城の地下の貴族用の牢に入っているそう。私は襲われた際の話をし、不能と噂の王の事実を知りたいと話した。後何故フリードを本当に殺さなかったの?すると意外な事実が発覚しました。


前王は不能ではなく絶倫すぎるそうよ……なにそれ怖すぎるわ……


はあ?


前王は魔力量はかなり多いけれど、全く魔法を使うことができない。しかも魔力が体内に蓄積され易く、魔法で放出できない分が貯まりすぎてしまう。人間の魔力は通常の生活でも使われている為、通常の魔力量であれば、魔法が使えなくても放出できている。しかし前王は通常生活のみでは放出仕切れなかった。


魔法を使える様に訓練はしたそうだけど、体質のせいなのか無理だったという。体内に高魔力が燻った状態のこの状態は、魔力過多といわれている。


日常生活で一番放出出来る方法が、体液交換というわけよ。相手に与え魔力を放出できるからよね。そのために若い頃の前王は、己が苦しくなると手当たり次第に女性に手を付けていた。しかしやはり前王も人の子であるため、どうしても好きになったり、好みが偏ったりしてしまう。いわゆる寵姫と呼ばれる女性が出来てしまう。


お気に入りの女性ができ婚姻したいと願う。しかし暫くすると女性の体調が悪くなり、それでも関係を続けると皆精神を病んでしまう。さらなは女性が妊娠しても流れてしまう。原因を調べた所、女性の体が魔力を受け入れきれないと判明。妊娠しても受け入れきれない魔力が毒となり、胎児が高魔力に耐えきれず死亡してしまう。


前王妃は魔力量が多かったけど、また壊れたらと思うと手をだせなかった。そんな中無理矢理ではあるが、聖獣に魔力を与えらる事に気づく。前王は聖獣に無理やり己の魔力を与え、己の体調を回復させ欲を抑えていた。


無理やり主以外の魔力を与え続けられていた、モノクにはよい迷惑よね。しかもモノクを自分の物にしようとしたらしい。その為に前王妃様を毒殺した。毒味した侍女を巻き込んでまで……


フリードを殺さなかったのは、王家の血筋が絶えた時の保険。しかし本人に血筋を気取らせるわけにはいかない。その為孤児院で間者に育成し、己の傀儡にしようと仲間を人質にしていた。しかし王弟が王になるには後継が必要だからと、クーデターに担がれるのを拒否している事を知る。ならは息子が生きてたら不味いとなったのね。全くどうしようもないクズよね。


魔力量は確かに聖獣と契約すれば解決するわね。魔力は共有する訳だから、己が魔法で発散できない分を、聖獣に使って貰えば良い。でもモノクは男性体だし、今いる他の聖獣たちは……レインが私の意図に気づいたのか、魔力の質が悪すぎると首を横に振る。魔力の質は本人次第だから、何時か更正をすれば契約も出来るかも知れない。


「でもすべて放出できなくても害はないのよね? ならば程々に体液交換をして放出すれば良いのよね? なのになぜそんなに沢山放出する必要が有るの? 」


「「「そっ……それは……」」」


言葉を濁す男性陣。結局は前王がエロすぎるのがいけないのよね?己が我慢できないだけ。好きな女性の為ならば、少しくらいは我慢をしなさい!キスでも放出できるし、日常生活でも放出しているならば、激しい運動でもすればよろしいの!執務が多忙ならば、仕事の合間にでも筋トレしなさい!我が子の為にも女性を労り、己の体を酷使し発散すれば良いのよ!


「リョウ……たしかに激しい運動でも体内の魔力は発散されます。しかし苦しいですよね? 人間は楽な方に逃げがちです。快楽を伴う発散方法を知っていたなら、間違いなくそちらを選ぶでしょう。発散量も桁違いですからね……」


レイン?でも相手を愛しているならば、苦労もできるはずではないのですか?


「レインのいう通りだ。だから魔術師には奔放な者が多い。相手を絞ると壊してしまう恐れがあるからだ。皆がリョウの様に魔法が使えるわけではない。魔法は資質が必要なのだ」


ラス……怖いことを教えてくれてありがとうございます。魔力量が多いと絶倫傾向になるわけですね?それでは結婚相手に魔術師は駄目よね。気をつけましょう。


ルードをじっと見る。確かルードも魔力が多いのよね。召喚の魔方陣に魔力を供給してたのだから。でも魔法を使ってるのを見たことはないわね。


「ルードは大丈夫なの? 魔法を使っていないわよね? 」


「私には魔力が殆ど有りません。なので心配はいりませんよ」


なぜかはわからないけれど、やはりこちらのルードは……


「説明をありがとうございます。つまり私は魔力量が多いから壊れないと思われたのね。前王の望むエンドレスに付き合える女性はこの世界には私だけなの?

もしかして神様に体験させられた、亡くなった聖女のヤンデレ王子もこれが原因なの? 兎に角! この世界の男性は少しは自制心を覚えなさい! エロばかりしか頭にないの? 愛は体だけではないの! 相手を思いやれば煩悩も退散出来る筈よ! 」


「リョウ……経験なしの貴女の言葉では……申し訳ありませんが説得力が余り……」


「レインは黙りなさい! 思いやり! これが一番大切なの! そんなに我慢ができないのならば、そのねじくれた本質を正して聖獣と契約しなさい!

魔力の質を良くしなさいと前王に伝えて。あら? でも契約をしても魔力量に変化はないなら、もしかして絶倫は変わらないの? ううん。過剰魔力を排出できたなら、燻りもなくなるからかなり楽にはなるはずよ。相手も病まなくなるから、仲良くはできるはず。でも魔力量は変わらないからやはり駄目ね。魔術師はノーサンキューよ! 」


これにて一応決着。後はフリードとブランの力に任せましょう。頑張って国を建て直し支えてくださいな。


***


帰り際にに報奨の事を伝えられた。ルードたちは国に属してる為、国へのお礼となるとのこと。つまりそこから国よりボーナスが出る。ならば私もギルド経由よ?しかし草原での魔物退治と治療以外は、ギルドの管轄ではないといわれ、しかも内政に干渉する様な事までさせ、命の危険まで与えてしまう。もしも溢れた狂った魔物たちが隣国を襲っていたなら、二国は間違いなく戦争になっていた。たしかにドラゴンが暴走すれば、国境間際の地域だけの被害ではすまないでしょう。更には国中の巡回医療や炊き出しまで任せてしまい、これで報奨を出さねば国民にも叱咤され顔向け出来ないとの事。無理はできないため気持ちばかりでも受け取って欲しいと言われてしまう。しかしどれも私が勝手に首を突っ込んだら様な……まぁ戴けるならば喜んで貰いますが、一体何を戴けるのでしょうか?


内容は大金貨で十枚。城内に私専用の部屋を一室。この部屋には瞬間移動で何時でも出入りOK。ドレスや必要な品も全て揃えてくれていて、既に王弟派の貴族からの貢ぎ物や、色々な町や村から沢山のお礼が届いている。それらはすでに全て部屋に運びこまれていた。


全てデジャ・ビュじゃない。シスルの国での報奨と兼ね合わせたわね。専用部屋はブームなの?最初の城で断ったのは私だけど、召喚された城にはないなんて笑えるわよね。王と話すらしていなしね。別にあんな城に部屋なんか要らないし、城下町にお家が有るから良いけど。今から増築が楽しみよ。


更に個人的にと、フリードから若草色のローブを戴いた。


「その空色のローブは良く似合っている。しかし着たきりではな。この色も似合うと思うから着てくれ。空色のと同じ魔法を組み込んでいる。赤い小さいてんとう虫が魔石だ」


ローブには空色と緑のクローバーが刺繍され、可愛らしいてんとう虫が遊んでいた。


これもあのワンピースに似ているわね。


「フリード。ありがとう。明日戻る際にきていくわ。空色のローブもだけど若草色のローブも素敵。どちらもそっくりな生地のワンピースがあるのよ。アクセサリーもお揃いでお気に入りなの。こちらの世界に来て初めて購入した服なのよ。セットで購入したら、小花のセットを店主のおばちゃまがオマケしてくれたね。その内小花のローブもゲットかしら?何てフラグは流石にないわよね」


「しかし残念だ。リョウは明日戻るのか。また何時でも来てくれ。これは紋章入りの懐中時計だ。かの国と使い方は同じだが、色は若草色にしといたぞ。リョウの聖獣様の色だな。彼女の聖獣様は白黒だったよな? 確かアネモネのカーバンクルだといっていた……」


王がなにかを懐かしむ様に言葉を紡ぐ。亡くなった彼女を思い出しているのかしら?


「モノク。タルバ。ちょっと出てきてくれる? 」


二人が聖獣姿で現れる。


「タルバは幸運のクローバーのカーバンクルです。確かに色がピッタリですね。モノクはアネモネのカーバンクルです。実はアネモネには沢山の色が有ります。全体的な花言葉は恋の悲しみと薄れ行く希望。でも色で花言葉は違うんです。モノクの色の花言葉は、真実、真心、希望。恋の悲しみは真心で癒し真実の愛を得る。薄れ行く希望は真実を見付け新しい希望に繋げる。モノクの主の彼女も、きっと花言葉の様に皆さんの幸せを祈っていると思います」


モノクはじっとフリードとブランを見ていた。


「いつの間にか私とモノクは契約していた様です。一緒に連れて帰りますが絶対に幸せにします。お二人も幸せになっ下さいね。親子の時間を取り戻してください」


「「気持ちは有り難いが、今更親子の時間より恋人との時間のほうが……」


「あら? そう言えば私は、モノクの真名を聞いていないわよ? 」


モノクが肩に乗り耳元で囁く。えー?私が偶然当てていたの?モノクロームが真名?さすがに簡単すぎて不味くはないの?体液交換は簡単に出来ないから大丈夫?無理矢理や嫌なら殺す?それはまた物騒ね。


「だからリョウとも仮契約だったでしょ? チュー狙うのって結構難しいんだよ。転がった先に別のが有って助かったけどね。つついてごめんね? 」


「「「別のとは? つついた? 」」」


「モ・ノ・ク~!! 」


私はモノクを追いかけながら、その場を脱兎の如く逃げだす。だって恥ずかしいわよ!


翌朝皆に別れを告げ、私たちは城を後にしました。


*****


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