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婚約破棄までの1週間はテンプレ三昧。私も幸せになりたい!in 異世界。  作者: 桜鶯
【城下町編。フロックス国境でダービー開始】
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城下町から1週間と1日目・夕方。

男性陣にこの中から選べと呈示されたのが以下の三点。


・ アーマー。所謂ビキニアーマーって奴。


・ 踊り子の服。スケスケひらひらアジアン風。


・ ボディスーツ。バニースーツ。うさ耳付。


おらおら!私を舐めているの?たしかにローブを羽織ればわからないけれど、脱いでこれでは変態みたいよ。えー!この世界ではこれらは普通なの?却ってローブ着るのが可笑しいの?どれも凄い高性能だ?でもねぇ……


「リョウ。ならばこのスクールウェアというものはどうですか? 日常的に着用されていたならば恥ずかしくないのでは? 魔法効果も素晴らしいですし、防御力もかなり有ります。更に魔法を使用する際の使用魔力減少に、威力と範囲調整機能も付いてます。今している腕輪とローブの効果と同様ですが、効果は重なる樣です。今回腕輪とローブにはかなり助けられましたよね? 」


確かにそうよね。大きな魔法を連投してもピンピンしていたし、眠くなったり倒れたりもしませんでした。


「これらのお陰だったのね。シスルたちにお礼を言わなくちゃ。ならば制服にしようかな。ローブを来ちゃえば見えないし、着慣れているからね」


「では此方をどうぞ。このマークをタッチし念じると全てが仕舞えます。着替えたい時はパネルの種類一覧から選びタッチをすると、自動的に着替えさせてくれます。着用していた服は自動的に仕舞われるそうです。再度マークをタッチし、戻れと願えば元の服です」


なにこれ?まんまスマホじゃない。スマポンってやはり……しかも種類一覧の沢山の余白欄は何?まだ追加されるとか?あ!既に所持している服や武器や防具も登録が出来るのね。剣を呼び出したりするには便利よね。


全ての洋服をスマホモドキに収納し、一覧から選びタッチするっと。良しOK。何よ?また言うの?ポーズ取るの?


「見ちゃいやーん。お着替え完了。制裁よ! 」


虹色の風がクルクルと周囲を取り巻き、下着から全てのお着替えが終了ー。


ちょっと制裁っ何?お仕置きではありません。更には着替えてびっくり何よこれ!勝負下着は標準装備なの?勝手に着せないで!


「これではまんまコスプレよ! 中二的詠唱と言い、もしかして神様ってオタクなの? あの女神樣の様なご尊顔の神様がオタク? 信じられない! でもこのスマホ仕様と言い制服と言い、絶対に私専用よね! 教会にゆくから首を洗って置きなさいよ! 」


十八才でこれはキツい。伝統校のセーラー服をここまで崩したオタク魂に感服よ。まさか卒業間際になって、膝上スカートにニーハイをはく羽目になるとは……しかもスマポンはウェストベルトに嵌まっている。これが変幻自在って奴ね。しかし布地が少なくて心許ないわね。セーラーの下にせめてシャツ位は着せてよ。捲るといきなり下着ってどうなのよ?しかもスケスケレースでどうしようもないわ!ん?


将軍とルードが何故かかなり遠くにいた。


「ちょっとレイン? まさか着替えているのが見えていた訳ではないわよね? 」


「見えてはいませんよ。シルエットが解る位でした」


「それならばなぜあんなに離れているのよ。なんだかいつものパターンみたいで嫌な気配が……」


「チラリズムと言う奴だな。見えそうで見えぬ事で期待を高め、セリフと実物で煽る。しかしそれが勉学の為の標準服なのか? 充分大胆ではないか?しかもシスルの言っていた絶対領域だ。だが心配をするな。スカートが捲れてもパンツは見えなかったぞ。流石の神仕様だな。さあさっさとローブを羽織り、黙ってありがたく着ていろ」


オタク神め……黙って着ますよ。くぅぅ……


***


私は将軍とルードを連れ、砦の黒マントの男のいる部屋へと向かう。取り敢えず将軍とルードは呼ぶまで隣室で待機して貰う。此方の話は全てが聞こえる様に、扉は全開に開いたまま。黒マントの男は机の上の日記に手を乗せじっとしていた。


「それを読んで解ったとは思うけど、一冊は三年前に亡くなった王妃樣の日記。もう一冊はその後直ぐに亡くなった、お付きの侍女の日記よ。王妃樣の監禁されていた部屋には隠し部屋が有ったの。多分生き残った次女か誰かが隠してくれたのね。聖獣たちが見付けてくれたわ。でも王は本当に王妃に興味がたかったのね。部屋も当時のままだそうよ。隠さなくても大丈夫だったたわね。本当に酷い王だわ」


「他には産まれてくる赤ちゃんの為に編んだ洋服やベビー服。手縫いのオムツが沢山仕舞われていたそうよ。死産と知らされても、捨てられずに大切にしていたのね。もう理解できているわよね? その死産した筈の子が貴方よ。貴方は王弟で現将軍の父と、前王妃様の子供なの。もちろん不義ではないわ。王が二人を引き裂いたの。だからこそ貴方の存在は消された。しかも王妃と侍女は毒殺よ。辛い真実だけど受け止めて欲しいの。貴方にはまだ未来が有るから」


黒マントの男が日記から手を離し口を開いた。


「俺は俺だ。俺を必要としてくれる奴らと生きてきた。死んだ奴らの為にも、俺はこれからも俺を必要としてくれる奴らと生きてゆきたい。真実は確かに重要だ。自分のルーツをしれたのは嬉しい。でも俺を必要としてくれる奴らはいるのか? 母親は死んだんだろ? 仲間は皆死んだ。俺は一人で生きるのは嫌だ。我が儘かもしれないが、俺は人に必要とされるのを生き甲斐に生きてきたんだ。一人は嫌だ……耐えきれない……」


「ならば覚悟を決めなさいな。貴方は父との再会を望むの? 父親は王弟で将軍よ。貴方はその血筋を活かせばやがてはこの国の王にもなれるわ。今新王は切実に沢山の人たちに望まれている。愚王を下ろすクーデターも準備されているの。貴方は父王をサポートし不幸の連鎖を絶ちきりなさい。お母様は優しすぎたの。王を諌められぬ事に後悔し、切り捨てられず不幸の連鎖を次代に繋げてしまった。お母様の為にも鎖を断ち切る勇気を持って欲しいのよ。死んだ仲間の様な子供たちを二度と出さぬ為にもよ」


返事がない。悩んで葛藤しているのでしょう。しかしこの国の王はもう駄目ね。タルバに城下町の人々を調べて貰ったけど、誰もが澱んだ目をしていたそう。小さな子供たちもよ。度重なる重税の追加に無理矢理な徴兵制度。


城下町だけではなく、小さな村や町では餓死者や身売りが出てるという。奴隷制度がないのが幸いだけど、それが厄にもなっている。国内で身売りの買い手がなく、ある貴族が闇で他国への人身売買を斡旋していた。しかも売り上げの一部は王に献上されている。王は見て見ぬふりをしているのよ。


この国は腐りきっている。もう王の首をすげ替えるしか先はない。実は既に一部の貴族たちが、将軍を旗印にクーデターを謀っていた。しかし将軍が首を縦に振らない。


「自身が王になれば世継ぎが必要だ。しかし私は誰も娶るつもりはない」


こう断っている。ならもしもすでに世継ぎがいたならば?


「解った。お前も俺を必要だと思ってくれるのか? ならば俺は父に会う。父王をサポートする」


「当たり前よ。必要ではない人間なんて一人も居ないのよ」


「俺の名はフリードだ。黒マントではなく、フリードと呼んでくれ。ドラゴン退治は見事だった。魔法は貴女が放ったのだろ? 聖女様」


「私はリョウよ。聖女様何て呼ばないで。あら? 待ちきれずに乱入の様よ」


将軍が早足でフリードの元に駆け寄る。しっかりと抱き締め、良く生きててくれたと男泣きしている。思わず私まで貰い泣きしそうよ。あらあら。フリードまで泣き出してしまったわ。お邪魔虫は暫し去りましょう。部屋の隅にいたルードを促し部屋の扉へ向かう。ルードが然り気なくハンカチを差し出してきた。あら?私泣いているの?感動のしすぎて涙が出たの?ハンカチはありがたく拝借するわ。ルードがドアに手を掛けた。


「聖女様! お待ち下さい! 私の名はブランです。将軍ではなく、私もブランとお呼び下さい! 」


「それは構わないけれどいきなりどうしたの? 聞いたと思うけど私はリョウよ。お邪魔虫は暫し離れるわ。良く話し合ってね」


私は二人を残し退室します。


***


「親父……息子に焼きもちかよ。流石に年甲斐もなく恥ずかしくはないのか? 」


「煩い! 息子といえど容赦はせん! お前の母と引き離されて以来の恋なのだ。大人の余裕など見せていたら負けるわ! 敵だらけではないか! 」


「そんなに敵さんが多いのか? でもリョウは恋愛事には鈍そうだ。しかも聖獣に囲まれているから、変な虫にかっ浚われる事はないだろ? 取り敢えず自身を落ち着けよう。頼りにしてるぜ父王様よ」


「私は王になど……」


「もう舞台は整っているんだ。死んだ母の為にも、民の為にもやるしかないだろ! 世継ぎは心配するな! 俺がリョウとバンバン作ってヤる」


「それは駄目だ! リョウは絶倫は嫌だと言っていたぞ。若い奴には無理だな」


「そんなことは好きあえばどうにでもなるぞ。飴とムチだな。優しく時にはハードにって奴だ」


「仲良くなられた様で何よりです。取り敢えず此方の服に着替えて下さい。お風呂はそちらに有ります。何でも城では急遽晩餐会だそうですよ。砦に聖女が来ているのに気付いた様です。ルードと共に招待状が届きました。目的はリョウと私たちでしょう。ついでに潰します。二度と日の目を見せませんよ。自身で棺桶を用意するとは馬鹿な王ですね。ニヤリ」


「「…………」」


「どうかなされましたか? では後程お迎えに参ります」


「「聖獣怖い……」」


*****


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