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婚約破棄までの1週間はテンプレ三昧。私も幸せになりたい!in 異世界。  作者: 桜鶯
【ストレチア国お城編。婚約破棄で皆幸福】
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お城6.5日目。

全ての下準備は終了し、後は明日のパーティーを待つばかり。午前中はダンスの練習をみっちり。しかし眠い。ルードと王子の足をしこたま踏みつけてしまい、呆れ顔のルードに何か思案顔の王子。


「明日は女性は朝から多忙だ。今日は早く寝ると良い。一つ聞きたいんだが、お前はアニーに会った事は有るか? 」


「ええ。あいましたわ。ふわふわしていて可愛らしい方ですよね。王子様の理想の女性ですわね。お似合いですわ。私嫉妬で虐めてしまいそうです。アニーさんがどうかなさったのですか? 」


「いや、知っているなら良い。虐めなどはせずに仲良くしてやってくれ。大事な人なんだ」


へー。王子ってば少しは良心が有るのね。アニーのことん大事に思ってはいるわけね。つまり下半身が弛いだけ?浮気性はやはり病気なの?この世界ではハーレム当たり前なのよね。王子の考えが常識なの?本妻を要に旦那様を盛り立てようみたいな感じかしら?アニーさんも大変だけど、倫理観が違うのは仕方ないのね。私は嫌ですけど!


「まさか冗談ですよ。私は虐めたりはしません。でもそう思われているのですね。寂しいですわ」


俯きながらエスコートされていた腕を外す。王子は噂がどうこう呟いている。王子樣まで噂はバッチリ届いているみたい。皆さんナイスよ。


「王子様? 私は一夫一妻の世界から来ました。王子様がアニーさんを愛していらっしゃるなら、婚約を破棄して下さって結構ですよ。私は多分一人の人しか愛せません。その事で嫉妬に狂いたくはないのです。今ならまだ間に合います」


「この婚約は決定事項だ」


王子は何かを考えながら、ムッツリとした顔で帰って行った。


***


はて?何よ?ルードがマジマジと私の顔を見ている。何か用が有るの?言いたい事が有るなら言ってよ。


「王子の事を本気で好きになられたのですか? 絶対に結婚などしたくはなかったのでは? 」


ルードは今更何を言っているの?好きになった訳がないでしょ?さっきのセリフは確かに全て本音。でもその一人が誰だとは言っていないわ。王子がどう解釈するかは王子次第なの。ルードは私の本気の演技に騙されたのかしら?さすがの私よね。


「さあ? 女心は秋の空という位変わりやすいのよ? でも貴方に答える必要は有るの? 皮肉られながらも最初に結婚の事は任せてと言われた時は、本当に頼りにしたし嬉しかった。異世界でも味方をしてくれる人がいたと安心もした。でもその後はナシのつぶて。私は自分で未来を掴む。貴方にはもう期待していかいの。護衛も本心では要らないと思っているわ。でも仕事なんでしょ? 無理をさせてごめんなさい」


ルードはまた何かを言いたそうな顔をして見ている。でも結局何も言わないのよね?言えないのかしら?だから私は貴方を見切った。私は王子にではなく、貴方に少し心惹かれていた。心細い異世界で皮肉混じりながらも親切な言葉を紡ぎ、私に一番最初に優しくしてくれた人だから。しかもイケメンよ。うら若き乙女なら惚れちゃうわよ。この無自覚天然スケコマシが!


私は部屋に戻ろうと踵をかえす。


「待って下さい! 連絡事項が有ります。明日のパーティーですが、王太子の替え玉で私が出席します。王太子が失踪中では、お祝いに来て下さる各国に示しがつきません。王子の護衛が貴方も守ります。当日驚かないで下さい」


はい?いきなり何なの?替え玉って大丈夫なの?バレないの?私の顔に疑問がありありと出ていたのでしょう。ルードは私に一枚の写真を手渡して来た。写真には色違いのルード!?クリス王子と同じ、金髪青眼のルードが写っていた。


王太子と騎士団長のルードは従弟で同級なの?


これはいきなりの爆弾発言ね!色違いだけど双子の様なクリソツさ。王の妹が母親で、つまり王子たちとは従弟にあたる。更には幼馴染みで同級生!これもいわゆるテンプレじゃない。実はルードが王太子ってテンプレも有るわね。双子は不吉だから養子に出されたとかもね。でも幼馴染みならば、流石にクリス王子には解るわよね。王太子の実兄と従弟を間違える筈はないでしょう。


「はーい。了解です。しかし言うのが遅くない?

聞き忘れていたら、私は明日の会場で暴れたわよ。神様に聞いたわ。王太子が失踪したせいで私は王子に嫌な目に合わされているの! 本来の結婚相手は、体の相性がバッチリな彼だそうよ! まあ失踪して責任から逃げる様な、気弱な王太子もお断りだけど! 何が体から始まる愛よ! 神様が言う事? 冗談じゃない。愛から体よ! 王太子失踪大感謝よ。王家の囲い込みの婚約なんて知らんぷりして良いそうよ。さらには王族よりも聖女の方が格上なんですって! だから王族との婚姻する義務もなし。護衛の貴方には悪いけど、城に戻る前にさっさと逃げなきゃ」


「随分神様に気に入れれた様で……」


「素敵な神様だったわよ。前の世界での心残りも全て解決してくれた。お詫びに私が幸せになる為に、害虫は排除してくれるって。だから囲い込みは要りません。グッバイ王家!でも男神だったのにはビックリ。あの美しさは女神様だと思ったわ。流石幸運を呼ぶ宝石と同じ名前だけ有るわね」


(神の加護に祝福も貰いましたか。幸せうんねんはチートでしょうね。元から頭もキレれスペックも高そうです。歴代の聖女は恋愛脳の方々ばかりの様でしたが、リョウは中々の強者ですね……ブツブツ……)


なによ!ブツブツ言っていないで、文句があるならハッキリと言いなさいよ!


「今回は私の完敗です。私は貴女の邪魔はしません。私の手配はどうやら手遅れの様です。明日のお手並みを拝見といたしましょう。では今晩はゆっくり休んで下さい」


言われなくても休みますよ!さて荷物を纏めてご飯食べて寝る!明日は頑張るわよ!


***


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