始まり
どうしてこうなった。
「あなたが勇者様なのですか~。よろしくお願いしますね~」
俺の右側にいるのは、金髪を腰まで伸ばした美女。
柔らかな目尻の碧眼から感じられる人格は、いかにもな癒し系といったところ。ぽわぽわとした空気を纏っている人だ。
何よりも圧倒的なのはその胸囲。メロンサイズの凶器を凝視しようとしたところで、今度は俺の左隣から声がかかった。
「勇者殿。よろしく頼む」
左側にいたのは、最低限の挨拶だけを返した切れ目の女性。
長身に均整の取れた体つき。そして黒曜石の瞳と同色のポニーテールが相まって、怜悧な美貌からは抜き身の刃っぽいイメージが感じられる。
「……よろしく」
ぽそりと聞こえた声は後ろから。
振り返ってみれば、そこにはジト目で見上げてくる青いショートカットヘアの女の子。
小柄で華奢な身体に魔女っ子帽をかぶっているので、その姿は端的に言えば魔法少女か。
ちょっと暗いイメージの女の子だが、それでも容姿はかなり整っている。眠たげにしている金色の瞳が、とても愛くるしい。
「勇者よ! あなたにはあたし達と婚約してもらいます!」
最後に聞こえた声は、俺の真正面。
燃えるように赤い瞳、燃えるように赤い髪をツインテールにした少女が、仁王立ちしながら胸を張っている。その御目目はパッチリとした綺麗な二重で、彼女自身の気の強さが現れているかのような美少女だ。
背は金髪巨乳さんと黒髪ポニテよりも低く、ツインテールを彩る赤のリボンが子どもらしさを感じさせる。
その体躯からは、年頃の少女としての青臭さと、大人として開花しようとしている色気が撒き散らされていた。
それぞれが違った魅力のある女の子達に、俺の心臓が高く跳ねる。
「えっ。何が起こって、ええっ!?」
俺は何がなんだか分からず、辺りを見回す。
豪奢なドレスを着た4人の女の子。
そして、足元には虹色に光る魔方陣。
周囲は薄暗く、四方を囲むは石造りの壁。
もう一度言おう。
どうしてこうなった。