4話
「動けっ! もっと動けっ!」
総一朗は自分に言い聞かせる様に叫ぶ。
外に出た鉄人に向かって警備員が殺到してくる。
蟻の群れを思わせる圧倒的な数だ。
「クソっ! 機体が重い」
機体には装甲が追加してあった。
正面切っての殴り合いなら有効だが、歩兵相手では邪魔なだけだ。
両手に持ったマシンガンで薙ぎ払い、距離を保つ。
総一朗がパネルを操作し、倒れた警備員をズームした。
「やっぱりか」
そこには白い液体を流しながら倒れている人体が映っていた。
「道理で熱量が小さ過ぎる訳だな……だが、これで遠慮はいらない」
総一朗はマシンガンを連射し、出口を目指す。
次の角を曲がればメイン通路に出る筈だ。
そうすれば直進すれば出口に着く。
が、そうは問屋が卸さない。
モニターに反応が6。
「この熱量、戦車か」
建物等で見えないが、その方向に視線を送る。
戦車は6台で編隊を組み、こちらに向かって来ていた。
「先手を取らないと袋叩きだ」
予想進路をモニターに出しながら、脚部ミサイルポッドをそちらに向ける。
トップアタックを狙い、残弾全てを発射する。
そしてすぐに移動する。
「何機残るか……」
全機撃破が理想だが、それは無理だろう。
一機でも多く破壊してくれる事を祈りながら、鉄人を迎撃し易い位置に走らせた。