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序章
「本気なの?」
「本気よ」
「あそこがどういう所か忘れたの?」
「忘れてないわ」
「ならどうして!?」
「簡単な話よ。あそこしか私の目的は果たせない」
「ここでも出来るはずでしょ?」
「ここだと時間が掛かりすぎるの。それでは間に合わない」
「どうしても、なの?」
「どうしても、よ」
それが私と彼女の最後の会話だった。
あの後彼女は去って行った。
彼女は目的を果たしたのだろうか?
私は……。
「ごめんなさいね」
私には、これしか方法が無くなってしまった。
もう、なりふり構ってはいられない。
「ごめんなさい」
私は破れた写真に謝った。
縦に破かれたそれには、まだ幼さの残る彼女が写っていた。
「結局、貴女は正しかったようね」
私はどこで間違えたのだろうか?
いや、最初からか?
「それでも、私は……」