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一人目は引きこもり?

自己紹介が終わったルナは、早速王子と王女に会うことにした。

城内を歩きながら、ルナはこれから会う第2王子、アレン・アルカナの話をケイトから聞いていく。



「なるほど、人見知りが激しく1日のほとんどを部屋で過ごしている・・・・つまり、引きこもりと」


「ち、違いますよ!ただ、人に会いたくないから部屋に閉じ籠ってるだけです!人間が苦手なだけです!」


「ケイトさん、残念ながらそれを引きこもりと言うんです。しかも、結構タチの悪い」



本人的には必死にアレンを庇おうとしているのだが、余計アレンの立場を悪くしているケイトの発言に、ルナは些か不安を覚えた。

手伝いをすると言っていたが、果たして大丈夫なんだろうか?


そんな不安を抱えてる間に、アレンの部屋へとたどり着いた。まではよかった。



「・・・・なんじゃこりゃ」



ルナがそう呟くのも無理はない。

扉には『入るな』と書かれた紙が貼られており、バチバチと電気が音を鳴らしていた。一瞬触れるだけで、バチンッと静電気を受けたよう痛みがはしる。



「雷付属の結界って・・・・どんだけ人を近付けたくないの」


「実は、これで前の前の教育係は気絶しました」


「その人馬鹿ですか。こんだけバチバチいってんのに触る?」


「なんでも『俺の筋肉にこんなものが効くわけないだろ!馬鹿者が!』と言ってドアノブに触ったら気絶したそうです」


「ごめん、訂正する。筋肉馬鹿だったのね」



そんなのか教育係なのかと思いながら、ふと、ある疑問が浮かぶ。



「呼び掛けに返事はしますか?」


「え?えっと・・・・返事はある事はあるんですが」



見た方が早いと考えたケイトは、扉に少し近付いて口を開いた。



「アレン様!新しい教育係が来ました!」



しばらくして、扉の下の隙間から紙が出てきた。ケイトはそれを拾うと、ルナの方に見せる。



『帰れ』


「ハッハッハ、簡潔な返事をありがとう」


「このように、使用人達にも紙でしか返事をしてくれず・・・・僕も城に入ってから一度もアレン様の声を聞いたことがありません」


「ケイトさんは城に入って何年?」


「3年です。ちなみに、5年やってる先輩も一度しか声を聞いたことがないそうです。声を聞いた者は、幸せになれるという噂まで流れる始末で・・・・」


「都市伝説かよ・・・・ん?彼っていくつだっけ?」


「今年で10歳です」


「少なくとも5歳から引きこもりか」



なんという幼少期を過ごしてきたんだ。普通は友達とキャッキャッ遊んでる年代から、彼は引きこもりになっているという。


その話とこのように人を拒絶する魔法もあってか、今までの教育係達はこの時点で諦め、辞めていく者が多い。

しかし、ルナは少し違った。



「まぁこの程度なら・・・・」



そう言って、扉に触れるか触れないかのギリギリの所で右手をかざし、目をつむって集中をはじめる。やがて、手を真っ直ぐ上にもってくると、カッと目を見開く。


そして、瓦割りのように手をふり下ろした。その数秒後、



「え?」



ピキリッと扉に切れ目が入り、扉は見事に真っ二つとなった。それと同時に、バチバチと言っていた電気が消える。



「え、えぇぇぇぇぇぇ!?」


「おっ邪魔しまーす」



驚きの叫び声をあげたケイトに構うことなく、ルナは扉を蹴ってさっさと部屋の中へと入っていく。


中にはいると、そこは暗闇だった。まだ昼間にも関わらず暗い部屋の中を見ると、窓の部分に暗幕が貼ってあるために部屋に光を通さないらしい。


ようやく目が慣れてきた時、ルナの目に入ったのはたくさんの本と怪しい液体が入っている試験管やフラスコ。

まるで、何処かの研究所のようだ。



「なるほど・・・・あれだけの結界をはれるだけはあるわけだ」



近くにあった本をパラパラと捲っていると、ようやくケイトがあとを追いかけて部屋に入ってきた。



「ルナさん!イタッ!?何か踏んだ!?」


「ケイトさん落ち着いて。今、光をだしますから」



ルナが人差し指を口元にもっていき、フゥと息を指先に吹き掛けると、指先にポオッと発光する玉が現れた。

それから指をふると玉は指から離れ、フワフワとルナの周りを浮遊する。



「ルナさんは、魔術師だったんですか・・・・」



それらを見ていたケイトは、驚いたような声で呟いた。


アルカナ王国は、豊かな土地柄でいい国だが、魔力をもった人間があまりいないのもまた特徴でもある。他国では戦力となる魔術師団の人数も、驚くほどに少ないのがいい例だ。


だが、魔力もただあればいいわけではない。アルカナ王国では人数が少ないのを補うために、魔力量や質、そして扱う知識などが魔術師団に入るための条件である。

生半可な者では入れず、魔法が多少使えるだけでも落とされてしまう。しかしもしも入れれば、その人はそれなりの地位を得られるため、毎年魔術師団の試験を受ける人間はたくさんいる。


そんなアルカナ王国で、魔術師団以外の人間が魔法を使うのは大変珍しいケースだ。

尚且つ、アレンのかける結界は、魔術師団団長であるロイスすら感心するほど強力な結界である。それをいとも簡単に解いてしまった。


ただの教育係というが、本当なのかとケイトは疑ってしまう。が、当の本人はケイトの驚きなど無視して、山積みとなっている本をペラペラと捲っている。



「ふーん、毒薬の研究もしてるのか。じゃあこれがそうか?」



近くにあった、紫色の液体が入っている試験管をルナは手に持つ。物騒過ぎる言葉の後に持たれた試験管を、ケイトが慌ててルナの手から奪い返して慎重にもとの場所に戻す。



「あ、危ないですよルナさん!落としたらどうするんですか!!」


「大丈夫ですよ。私、耐性あるし。あ、でも落としたら気体になって私以外が死ぬか・・・・」


「絶っ対に触らないで下さい!!」



平然と自分の命の危険を言うルナに、ケイトは非難の視線を向ける。しかしそれも何処吹く風。ルナは周りを見回して鼻でため息をつく。



「まぁ、そんなことより・・・おい!隠れても無駄だぞ!」


「え?」



そう言われて、ケイトは周りを見る。部屋の中には二人以外の人影など見当たらない。


そういえば、部屋の主は何処にいる?

色々な事がありすぎて、ケイトは重要な事を忘れかけていた。

そうだ、自分達はアレンに会いに来たのだ。しかし、その肝心の本人が見あたらない。


キョロキョロと目を動かしているケイトとは別に、ルナはどんどん奥へと進む。

それほど広くない部屋が、沢山の本などが床に散乱しているためにさらに狭く感じる。ルナは器用に足元の物を避けながら、ある壁の前に立ち止まった。


しばらくジーッと壁を見つめているルナに、ケイトは首を傾げた。



「ルナさん?」



ルナはそれに返事をすることなく、壁に手を伸ばした。そしてガシッと見えない

・・

何かを掴んだ。そのあと、ヒョイッと持ち上げると、それは徐々に見えるようになってくる。


金色の長い髪をリボンで簡単にしばり、黄緑色の目の下は隈がある。病的なまでに白い肌、華奢な体型の男の子。


最初、ケイトにはそれが未確認生命体に見えた。しかし、着ている服が明らかに王族の物であったため、それが誰かなのか分かった。



「魔法で隠れるとはね。あんたがアレン・アルカナか?」



ルナに返事はせず、猫のように自分の襟首を掴んでいるルナを、アレンはただジッと見つめた。



「聞いてる?あんたはアレン・アルカナ?」



そこで呆然としていたケイトは気付く。本来ならば、もっと早くに気付かなくてはいけないのだが。



「ルナさんんんんん!!アレン様になんてことしてるんですかぁぁぁぁぁ!!」


「え?何が?」



何がではない。一国の王子を猫のように掴み上げる教育係が、果たして何処にいようか。未だプランプランと揺れているアレンは、どこからかメモ用紙を取り出して何かを書き込む。



『離せ殺すぞ』


「おぉ、書くことは一人前だな。で?具体的にどうやって殺すの?」



挑発とも取れるルナの言葉に、アレンはカチンと来たらしい。

部屋の空気が一変する。



「うわっ!?」



バチンッとケイトの頭上で音がした。そちらを見れば、本がバチバチといいながら空中に浮かんでいる。その本に続くように、次々と本が浮かび上がる。


まずい空気を察してケイトはルナを見るが、ルナは無表情でそれらを見ていた。



「ふーん、付属を付けるのは結構高度なんだけど・・・・これだけの数に付けるとはね」



などと、解説まではじめる始末。もしもこれだけの数が一斉に飛んでくれば、感電死するのは目に見える。ケイトは謝罪してもらおうと口を開く。


が、ケイトが言葉を発する前に、ルナはニヤリッと笑った。



「まぁ、だからなんだって話なんだけど」



パチンッと指を鳴らす。

すると、バチバチといっていた本が急降下する。力を失ったように、本は床に叩きつけられていくではないか。


アレンは目を見開く。降る本の雨を、信じられない面持ちで凝視した。


そもそも、アレンは他よりも群を抜いて魔力がある、アルカナ王国でも珍しい人種だ。幼い頃から魔法の扱いに長け、魔術師団にも負けず劣らずの魔法の天才。その自分の魔法が、先程からいとも簡単に打ち破られている。


アレンは、自身の魔法を打ち破った女を見た。ルナはただ、笑みを浮かべてアレンを見つめていた。



「さて、アレン・アルカナ。私の名前はルナ、今日からあんたの教育係を勤める。と言っても、今日はただの挨拶だけど」



床にアレンを下ろすと、ルナは懐から金色の懐中時計を取り出して蓋をあける。時間を確認したのち、パチンッと蓋を閉めると、アレンに再び笑顔を向けた。



「じゃあまた明日」



そう言って、ルナは片手を降りながら部屋を出ていく。ケイトも慌ててアレンに頭を下げてから部屋を後にした。



「・・・・」



アレンはただジッと、ルナが去っていった所を見つめた。真っ二つに割れていた筈の扉が、いつの間にか綺麗にくっついていた。



ようやく一人目の王子が登場。


名前→アレン・アルカナ

特徴→引きこもり、魔法が得意


やっぱり描写って苦手orz

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