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悪戯は怖い?後編

遅れてすみません

「約束が違うじゃない!!」


「う・・・?」



女のヒステリックな声と、腕に感じる鈍い痛みにエリーゼは目を覚ました。霞む視界の先に、何人かの足があるのが見える。どうやら、地面に寝ているらしい。



「娘は!?娘はどこ!?」


「うるせぇな。だいたい俺はそんね約束してないぜ?ただ、協力しなければ娘の命はないって言っただけだ。誰も帰すなんて言ってねぇ」


「そ・・・そんな・・・」



誰かが膝をつく。そのお陰で、チラリと相手の顔が見えた。



「じ、侍女長・・・?」


「っ!!」


「お?お目覚めかい?お姫様」



エリーゼのか細い声に、侍女長と髭面の大きな男が反応した。ニヤニヤと笑いながら、男はしゃがんでエリーゼに顔を近づけた。



「気分はどうだ?」


「ここはどこ?あなたは誰?」



エリーゼが睨む。が、男である相手が怯むはずがない。男は余裕の笑みで口を開いた。



「俺らは人拐いを仕事にしてる者だ。で、ここは俺らのアジト」


「人拐い?」


「そう、あんたは拐われたんだよ。お姫様」



目を見開いて驚くエリーゼ。腕を動かそうとするが、手首に巻いてあるロープが食い込むだけだった。



「痛っ!」


「おいおい、無理するなよ。大事な商品に傷がつく」


「しょ、商品!?」



エリーゼは暴れる力を強める。ただのロープであれば、エリーゼの力で引きちぎる事が出来る。


その時、エリーゼの首に冷たいものがあたり動きを止める。ギラリッと光る、鋭利な刃物がエリーゼの首にあてがわれている。



「だから、暴れるなって言ってるだろ?」



先程とは違い低くなった男の声に、エリーゼの体は思わず震えそうになった。

しかし、体を叱咤して相手の顔を更に睨んだ。



「こんな事をして・・・ただで済むと思ってるの?」


「ただで済むと思ってるの?だってよ!」



笑い声が部屋に響く。何がそんなにおかしいのか、エリーゼにはわかるはずもなかった。



「私を誰だが分かってるの!?この国の王女、エリーゼ・アルカナよ!?」


「あぁそうだな。んで?それがどうした?」


「なっ」



男は愉快そうに笑いながら、エリーゼの顎を掴んで無理矢理視線を合わせた。



「俺らはな、お前みたいなの何人も拐って売ってきたんだ、今さら権力なんか怖かねぇよ。所詮、お前は肩書きだけ・・・城から出りゃあお前一人じゃ何も出来ないんだよ!!」


「そんな・・・こと」


「ないのか?」



グッと下唇を噛む。

そんなエリーゼの反応に、目の前の男は更に笑みを深めた。



「そういえば、お前はたいそうワガママらしいじゃねぇか。だからあいつみたいに裏切り者が出るんだよ」



男は座り込む侍女長を指差した。侍女長はただ涙を流し、エリーゼを見つめていた。普段は温厚そうな目をしているのに、今は絶望の淵に立たされたような暗い目をしている。



「侍女長・・・あなた・・・」


「・・・・」



返事はなく、侍女長は他の男に連れられ部屋を出ていった。



「さぁ、お姫様。そろそろ時間だ」


「じ、時間?」


「あぁ、早々にこの国からお別れしないとな」



そう言って、男は懐から紫色に輝く石を取り出した。見たこともない石を不思議に思っていると、男は得意気な顔をして話し出す。



「これはな、転移石って言う魔石で魔力がなくても好きなところに転移出来る便利な代物なんだよ」


「転移・・・」



転移魔法は魔術師団団長であるロイスのを見ているために知っている。が、それと同じことが出来る魔石など聞いたことがない。


考えている間に、エリーゼは腕を掴まれて無理矢理立たされた。



「離して!」


「うるせぇ!大人しくしろや!」



その時、部屋にある扉が音をたてて開かれた。何事かと見れば、誰かが突っ込んできて男はエリーゼから手を離した。



「姫様!無事ですか!?」


「サ、サリー」



サリーはエリーゼを背に隠しながら、男に短刀を向ける。



「チッ・・・おい!なにしてんだ!」


「す、すみません!こいつ短刀を隠してやがって・・・」



サリーの後から、腕を怪我してる男が入ってきた。どうやらサリーも別の部屋にとらえられていたらしい。


男がめんどくさそうにサリーを見ると、サリーは男を睨んでいた。男が近付くと、サリーは後ずさりして口を開く。



「近付くな!」


「おうおうお嬢ちゃん、勇ましいことだが手が震えてるぜ?」



確かに短刀を握るサリーの手が震えている。それでもサリーは、短刀を握る手を緩めない。

サリーはこの状況をどう打破するかを必死に考えた。しかしそう簡単に浮かぶわけがなく、それでも一人で逃げ出すという考えは、サリーには浮かばなかった。



「ほら、危ないだろ!」


「きゃっ!」



フルフルと震える短刀を、男に叩き落とされた。赤くなった手を抑え、後ろに下がる。



「あー・・・めんどくせぇな。一人殺しちまうか」



ビクッと二人の肩がはね上がった。エリーゼもついに、恐怖に身を震わせる。


サリーは考える。なんとかこの状況を打破する方法を、せめてエリーゼだけでも助かる方法を。サリーの額から、ツーッと汗が落ちた時。


キーッと、扉が開いた。



「ニャーン・・・」


「あ?」



この場には似つかわしくない鳴き声に、その部屋にいた全員が扉を見ると猫がいた。

漆黒の毛並みに、金の瞳をしたどこか気品のある猫だ。


優雅な足取りで、黒猫は男とエリーゼ達の間に座る。



「なんだこの猫は?どこ・・・」



言いかけて、男は息をつまらせた。


猫が、笑ったのだ。

口角を上げてにんまりと、人間のように。驚きに固まる一同を余所に猫はジャンプし、男の顔を思いっきり引っ掻く。



「いてっ!?このクソネコ!!」



怒鳴る男に、見事着地に成功した猫は顔を向ける。



「少しはマシな面になったんじゃない?」


「なん・・・って、は?」



男は周りの人間を見るが、皆驚いているだけで口を開いた様子はない。



「フッ・・・アホ面が余計アホになるわよ」



黒猫は笑いながら

・・・・・

そう言った。


男達は後ずさる。得体の知れないものに恐怖しているようだ。

だが、エリーゼとサリーは黒猫の声に聞き覚えがあった。極身近で、こんな芸当が出来る人間。



「教育・・・係?」



エリーゼの言葉に、黒猫はエリーゼに顔を向けた。



「ご名答」



黒猫の体が光だし、徐々に大きくなっていく。光の塊は人の形になり、光が収まるとそこにいたのは紛れもなく、エリーゼの教育係ルナだった。



「いやはや、えらい目にあってるわね?お二人さん」



なんとも緊張感のない口調で言うルナに、エリーゼとサリーは力が抜けそうになる。



「あなた、この状況が分かってるの?」


「ん?あぁ・・・」



ルナは男達を見たあと、頭をかいた。



「あのー面倒だから、大人しく道あけてくんない?」


「あ、あけるわけねぇだろ!!」



唖然としていた髭面の男が正気に戻り、腰に差していた剣を抜いて斬りかかる。

女一人なら体格的には自分の方が上、先程のは魔法ならば、女が魔法を使う前に殺せばいい。そう思って。


が、



「あ、やっぱり?」



ルナは体を横にずらして避けると、腹に蹴りを入れる。

その威力は凄まじく、男は後ろにいた仲間を巻き込みながら、数メートル吹き飛ばされて壁に激突した。


巻き込まれなかった他の仲間は、口をあんぐりと開けて呆気にとられていた。

ルナは首を鳴らすと、金色の懐中時計を取り出して時間を見る。



「さてと、そろそろ良い子は寝る時間ね」



懐中時計の蓋を閉じ、ニッコリとルナは微笑んだ。



「じゃあ、お休みなさい」








勝負はあっという間についた。数人の屈強な男達は、仲良く床に寝ている。

その勝負をつけた女は、大きく伸びをしている。



「たく、手間かけさせて。まぁ、無駄な魔力を使わなくてよかっただけマシか」



武器すら持つことなく、素手で片をつけたルナ。エリーゼとサリーは一方的な戦いを、呆然と見ているだけだった。


それでも助かった。そう思った瞬間、サリーは気が遠くなって体が沈んだ。



「サリー!?」


「おっと」



素早くルナが体を支えたため、倒れることはなかったがサリーはルナの腕の中で気絶した。



「サリー!?どうしたの!?」


「大丈夫。緊張が解けて、気絶してるだけだ」



そのままゆっくり床に寝かせると、ルナは額に右手を当てた。すると、右手に暖かな光が灯る。



「回復魔法をやってるから、そのうち目が覚める」


「そ、そう・・・」



ほっと息を吐くエリーゼに、ルナは意外そうな顔をした。



「へー、心配するんだ。

・・・・・・

たかが使用人に」


「・・・」



エリーゼはギロッとルナを睨むも、ルナはケラケラと笑うだけである。



「私だって・・・命の恩人の心配はするわ・・・」


「ふーん」



王家の二番目の子にして、女の子ということもあってか、エリーゼは他の兄弟よりも甘やかされて育った。それが祟って、あのような性格にはなってしまったが。


それでも、人を思う優しさだけはもっている。ルナはそれが分かっただけでも嬉しく思えた。



「・・・なにニヤニヤしてるの?」


「別にー」



ルナを不審そうに見るエリーゼ。そんなエリーゼの頭に、ルナは手をのせた。

首を傾げるエリーゼに、ルナは優しい笑みを浮かべた。



「よく頑張った。怖かっただろ?」



目を見開くエリーゼ。そして、唇を噛み締めた。



「こ、怖かったに・・・決まってるでしょ・・・」



大きな瞳から、ポロポロと涙がこぼれ落ちる。その涙を、ルナは指の腹で拭ってやる。



「よしよし、もう大丈夫だから」


「分かってるわよ!馬鹿!!」



子供のように泣き出したエリーゼを、ルナは優しく撫でるのだった。







「あれ?」


「?」



あのあと、駆けつけたロイス達によって男達は捕らえられた。連行されていく男達を見ながら、ルナの声に傍らにいたロイスが反応する。



「おかしいな・・・髭面のやつがいたと思ったんだけど」



初めに蹴り飛ばした髭を生やした男の姿がない。逃げていくやつなどいなかったはず、それなのに一人足りないのだ。



「変ですね・・・ここいったいはくまなく探したんですが・・・」



ロイスも不思議そうに首を傾げた。

そんな二人に、保護されたエリーゼがある事に気づいた。



「髭面・・・もしかして、転移石で逃げたのかも」


「転移石?」



ルナがエリーゼの言葉に驚きの声をあげる。



「転移石って確か、かなりレアな魔石ですよね?」


「あぁ・・・」



転移魔法は一見便利そうな魔法であるが、それなりの技術がないと危険な魔法でもある。体を一次異空間にやったのち、目的の場所に行くことが出来る転移魔法。魔力のコントロールが出来なければ、異空間に取り残されたままになるのだ。


転移石は、その魔力のコントロールをしなくても転移が出来る魔石の事。しかし、かなり希少価値が高く、そうそう世に出回る代物ではない。



「どういう事でしょう。そんな希少価値のある魔石を持ってるなんて」


「少なくとも小悪党が持ってる代物じゃない」



さらにルナには気がかりな事があった。



「なんだってわざわざ王女であるエリーゼを拐う。身代金なんかは要求されてないんでしょ?」


「えぇ、そんな物はありませんでした」


「エリーゼの話によれば、そのまま売りに出すつもりだったらしいし・・・」



顎に手をそえ、考えるルナ。



「とりあえず、捕まえた者達を尋問してみます。なにか聞き出せるかもしれませんし」


「そうね。じゃあ私は逃げたやつを・・・っ!?」



ルナは言いかけて顔色を変えた。ロイスが「どうしました?」と聞くと、ルナは眉間にシワをよせる。



「おいおい・・・どうなってんのよ」



エリーゼメインの話。


なんかよくわからない展開になってきた←

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