『お前を愛することはない』と初夜で宣言する大公と見合いなのでドローンでボン!
「あのね。ケリー、レオナルド・ダヴィンチはね。ヘリコプターの設計図をつくったのよ。中世の人もヘリコプターは理解出来る。
もし、現代の自動車やヘリコプターを中世の知識階級に見せたら、動力は分からないが、そこはブラックボックスにして受け入れられるのよ。ケリー分かる?」
「さっぱり、分かりません。それよりもパーティー会場に行かなければ・・・それにその物体は何ですか?」
「ドローンよ」
また、お嬢様がおかしなことを仰る。
私はケリー、エリザベスお嬢様付のメイド。
お嬢様の2歳年上の18歳。
お嬢様がパーティーに来られないので探すように命じられた。
お屋敷内にあるドワーフ工房の庭にお嬢様がいたのだけども。
ワシム親方が何か円盤を整備してお嬢様に報告をしている。
「お嬢様、準備完了です」
「そう、有難う。さすがね」
「へへ、お嬢様の発想には驚かされます。これも前世の記憶で?」
「そうよ。私の発想ではないわ」
お嬢様は月のない真っ暗な夜みたいな黒髪を肩まで落として、目は碧眼。
時々ジトーと見つめながら夢の世界の話をされる。
正直怖い。
「ケリー、話の続きよ。でもね。電気は分からない。原子力も質量保存の法則から否定すると言われているわね。この世界なら魔素等価交換の法則かしら・・」
「お嬢様、分かりません」
「でね。ドローンを作ったのよ。さすがドワーフのワシム親方ね。制御装置に戸惑ったわ。リモコンは無理だったわ。ケリーにお願いがあるの」
「お嬢様、何をして欲しいのですか?」
「それはね。このドローンに乗って運転をして欲しいの」
はあ、またか。平べったい金属だわ。ゆっくり地面を動くのかしら。車輪は申訳程度に小さいのがある。速く動かないだろう。
「分かりましたわ。やりますから、これが終わったらお早くパーティー会場に行って下さい。公爵様と大公様がお待ちですわ」
「わかったわ。ケリー、一応、安全のためにこのリックを背負って」
「これは何ですか?」
「パラシュートよ」
私が乗ると、何か四隅についている風車のような物が動き出して回転しているわね。
「お嬢様、少し、浮きました・・」
「そう、自動で大まかな航路は設定したから、貴方は機体がバランスを崩さないように体重でバランスを取って欲しいの。この取っ手に捕まってバランスを取るのよ」
「え、こうですか?何か、上がって来ましたが・・それに、何ですか?これ、釣り糸みたいな物がついていますが・・・」
「実験よ。大公殿下は38歳で独身。新婚初夜で『お前を愛することはない』と言って令嬢を追い返すのよ。男色家でなければ・・もう一つの可能性があるわ・・・だから試してみたくて・・」
「キャアアア—!」
急にどろーんというものが10メートルくらい浮かんで飛び立った。空に浮かんでいるわ。
庭を越え。
行き着いた先は、ガーデンパーティー会場、
今日は珍しくエリザベス様の父、公爵様が自ら大公様を招いてパーティーしています。
ブゥウウウウ—と空を進みます。
私はバランスを取ることしか出来なかった。
☆大公視点
「全く、エリザベスは一体何をしているのか。早く呼んで来い!」
「まあ、まあ、支度に戸惑っているのでしょう。女性の身支度を待つ度量が必要ですぞ」
「公爵殿、エリザベスは2度も婚約破棄をされている瑕疵のある令嬢、躾が甘いからこうなるのです!男子を待たせるとは!」
全く、公爵は夫人を亡くされてから・・・娘を更に甘やかすようになった。いや、放置か。
社交界にも入り浸っている。遊び人として有名だ。
「何だ。あれは・・」
羽音がしたので見上げたら、メイドが円盤に乗って・・・空を飛んでいる。
「キャアアアアー!」
公爵が説明してくれた。
「あのメイドはケリー、エリザベスを呼びに行かせました・・が」
ワシの上で止って・・・何だ。釣り糸に釣り針がついている。
ヤバい!
ワシのカツラに釣り針が引っかかり。
ポロッとカツラが釣れた・・・
そうだ。カツラだから・・ずっと隠していたのに。
初夜でばれないかビクビクしていたのだ。
ピカッ!
「キャアアー、眩しい!」
メイドは眩しいと言いながら、そのまま円盤は西の方に向かって去った・・・
「大公よ・・。女性を口説くのならば全てをさらけ出さなくはいけませんよ」
「ウワーーン」
ワシは泣いて逃げる事しかできなかった。
社交界で噂になったが・・しかし、ビクビクするのも嫌になっていたことだ。
ヒソヒソ噂をいう輩をカツラをとって追い回した。
「おりゃ、おりゃ!眩しいだろう!」
「「「キャアーーー」」」
「大公殿下が乱心された!」
これで良かったのかもしれない・・・・
しかし、何故、涙がでるのだ。もう少し、早くカミングアウト出来ればと後悔しても仕方ない。
最後までお読み頂き有難うございました。




