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終末世界でもう一度 ゾンビウイルスで世界は終わりましたが、転生した私は『収納スキル』でスローライフを目指します  作者: 柿の種
第6章

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Episode6 - 今のスペックで向かってみよう


「本当に無理だけはしないでくださいね?」

「それもう5回目くらいだけどまだ言うの?」

「何度だって言いますよ!柊先輩は毎度無理や無茶をしてくるんですから」


 そうこうして、作戦への出発の日。

 私は朝から何度も同じ事を繰り返す五十嵐に対して苦笑を返しつつ、


「白星ちゃん、準備は?」

「出来てるわよぅ。お姉さん待ちよ?今」

「ごめんごめん。じゃあいってきます」

「いってらっしゃいませ!」


 五十嵐に見送られながら、私と白星は2人で居住エリアから出発した。

 今回の行軍は完全に徒歩。元より車等の便利な移動手段は持っていない為に、目的地までは時間が掛かる……訳もなく。

 私はすぐに白星を担ぎ上げると共に、【液体操作】を主にした身体能力強化を全身に施してその場から跳躍した。


「ちょっ!?こういう移動の仕方するなら事前に言ってほしいのだけれど!?」

「あんまり喋ってると舌噛むよー。それに、今回の目的地は普通に行ったら結構遠いし……街中通るよりはこっちの方が楽だからね」

「だから事前に――!」


 と言っても、白星に言ったのは建前であり。

 今回、異能を使って移動しているのにはちょっとした確認作業も含んでいる。

……リストアップはしてあるけど、どんな効果があるのかは私自身で確かめないとだからね。

 急激に増えた住人達。それに伴って、私は複数の新しい異能を獲得する事が出来ていた。

 効果が分かりやすいのは……今も、【液体操作】と共に身体の動きを補助、強化してくれている【身体強化】だろう。

 普遍的でありながら、使い勝手も良く戦闘以外にも使える便利な異能だ。


「……で、お姉さんは今回どこまでやるつもりなの?」

「どこまで、と言うと?」


 空中から落ちていく身体を、風を発生させる異能【創風】によってバランスを整えつつ。

 氷を作り出す事が出来る異能【氷雪生成】によって、空中に作り出した薄い氷の板の上を一瞬だけ踏みしめて再度跳ぶ。

 一見すると空中で延々と跳躍しているようにしか見えない芸当ではあるが、無論これを行う為に2つの他にも何個かの異能を使って補助している。複数の異能を扱う事が出来る私ならではの移動方法だ。


「暴れるって言っても、更地にするわけじゃあないんでしょう?一応、要らないかもしれないけれど、お姉さん用に水も大量に収納してきたのだけど」

「あぁー……いや、割と出来そうだったら更地にはするよ。私の方にも水は入ってるし……多分それが一番簡単なんじゃないかなぁ」

「……そんなに量入れてるの……?」


 担いでいる白星が何故か引いているが、気にしない方向で。わざと絶叫系アトラクションの様に急に高度を上げては下げてを繰り返しても気にしてはいない。


「ちょっちょっと!やめてったら!」

「正直、決めかねてはいるんだよね。更地にするとは言ったけど、そこまでする必要があるかと言われたら無いわけじゃん?」

「その話に戻るのね……まぁ、そうね。使える建物があるなら残しておいた方が復興には使えるでしょうし」

「でしょ?でも、それだけだったら私達の所に話を持ってこないと思うんだよねぇ……」


 そう、今回の依頼で気になっているのはそこだ。

 ただのコストが高いが便利な駒、として使われるくらいならば別に良い。簡単な仕事をするだけで大量の物資を得られるチャンスだからだ。

 しかしながら、今回の依頼が……私達だからこそ回ってきたのだとすれば?


「普通の、それこそ今回の依頼概要くらいの話だったら火征さんとかあの辺に話がいってもおかしくないわけじゃん」

「確かにそうね。……もう別のエリアの掃討に行ってるとかは?」

「あり得るけど……んー、だったら少し遠出しないといけない私達を無理に動かしてでも今確保する必要があるエリアか?って疑問がね」

「……もしかして、この前の作戦みたいに強いのが居るかもしれないって考えてるのかしら」

「可能性としてね」


 3級以上のゾンビが居る可能性。これだろう。

 複数の避難所の代表が参加した、大規模な掃討作戦。その中で3級以上を圧倒出来たのは……言ってしまえば、戦い方を知っている私1人だった。

 当然、指揮官として……作戦責任者としてその情報に関しては佐藤も知っている。

……強い敵には強い駒を。考える方向性としては妥当も妥当だからなぁ。

 この考えが合っているのであれば……今回白星だけを連れてきたのは正解だったかもしれない。

 彼女には既に【空間収納】を見せてしまっているし、それを組み込んだ戦術を考える事も出来る。

 本当に危なくなったら久々に『入れ替え』を狙ってもいいし、単純に戦力が倍以上になったと考えられるだろう。


「ま、着いてから考えようか。えぇーっと、白星ちゃん、タブレット出せる?」

「はいはい……周辺地図を出せばいいのよね?」

「そうそう」


 白星がこちらに見える様にタブレットの画面を見せてくれる。

 話しながらだった為に、そこまで目的地に近づいている訳ではないが……それでも、普通に道を歩いていくよりは早く進む事が出来ていた。


「ここから先に進んでいくから……確実に今日は野宿かな。少ししたらどっかの住宅地とかに降りようか」

「あら、そこらの山とかに入らないの?」

「そっちはそっちで野生動物とか警戒しないといけないからさ。ゾンビだけ警戒すれば良い住宅地より面倒なんだよね、実は」

「それは確かに」


 言って、眼下に複数の民家や建物が見えてきた辺りで下へと降りていく。

 当然ながら私の領地ではなく、物資目的でも足を運ぶか怪しい程度には拠点から離れた住宅地だ。


「……ん?」


 地面へとしっかり足が付いたのを確認してから、担ぎ上げていた白星を降ろすと。

 何やら彼女の様子が変だった。周囲を見渡しては目を見開いたり、小声で何かしらを零していたり……果てには、小刻みに身体全体を震わせ、顔色がみるみるうちに青ざめていく。


「大丈夫、白星ちゃん。……本当は高い所苦手だった?」

「い、いや、違うの。……ごめんなさい、ちょっと早めに休みたいわ。良い?」

「そりゃ良いけど……白星ちゃんと違って、私は安全確認してからじゃないと休めないから、少し待ってね」


 私の言葉に小さく頷くと共に、白星は私の服の裾を掴む。

 その行動に私は驚愕する。普段の彼女からは考えられない行動だったからだ。

……派手に動き過ぎて酔ったとか?それとも……この住宅地に何かある?

 【空間収納】から自律型の索敵ドローンを取り出し、A.S.Sと連動する事でリアルタイムで私に情報が通知されるようにしつつ。

 私は更に音の反響によって索敵をする事が出来る異能【反響索敵】、指定座標にしか攻撃が出来ない電撃の異能【直誘雷】を使う事で、引っ掛かった1、2級のゾンビの頭だけを正確に破壊していく。

 どちらも見た目だけでは変化はなく、私の身体から小さく何かが破裂するような音や甲高い音が鳴っている程度。身体能力を強化している私が辛うじて聞こえるレベルだ、普通の人では聞き取れないだろう。


「終わった、かな。……白星ちゃん大丈夫?一応エチケット袋渡しておくね」

「……貰っておくわ」


 すぐ近くの、危険が無くなった民家へと白星を誘導して。

 刀で鍵を軽く引き裂き中へと入る。

……ソファもある、【液体操作】とアルコールで何とか出来るかな。

 とりあえず見た目だけでも、とソファを小奇麗にした後に白星をそこへ横にして休ませてみる……が、どうしても彼女が調子を崩した理由が判断出来なかった。

 一応本当に私の動きで酔ってしまった時の為にと、酔い止めを用意して。

 その日の行軍は終了する事にした。

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