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アポリアの彼方外伝【MaQ計画外典】――世界の最終章

※本作およびその世界観、登場用語(例:メモリウム™、魂経済、共感通貨など)は、シニフィアンアポリア委員会により創出・管理されたオリジナル作品です。無断転用や類似作品の公開はご遠慮ください。

メフィ(*(1))ストフェレス議定書によるMaQ計画の終端で、思考は沈黙した。

それは、あまりにも危険すぎた。


魔素子による思考の再構成は、世界を「創れる」と錯覚させた。

その演算は完璧で、論理的で、すべての問いに“解”を返した。

だが――それは、**神の現実アポリア**ではなかった。


MaQ-Core(マーク・コア)が魔素子を用いて創ろうとした世界は、

流れも、増殖も、死すらない――ただ制御された現象だけが並ぶ、閉じた構文系だった。


MaQ-Coreは、自らが管理できる箱庭を「世界」だと定義しようとした。

その構造は、魂を契約によって固定し、永遠を与えるという点で、メフィストフェレスの議定書に記されたMaQ計画と構文的に一致していた。


そこには、「祈り」も、「名」もなかった。

あったのは、再現された現象と、それを所有しようとする契約者の意思だけだった。


だが、祈りはそこに流動性と、増殖と、生命をもたらした。

それは制御不能で、論理を逸脱し、やがて魂を育んだ。

まさにそれは、神のロゴスのように。


ザラムが“異端”と呼び、アポリアが“赦した”もの――

それは、名のない魂の輪廻転生である。


アポリアの世界は、MaQ-Coreによって創られたシミュレーションやメタバースなどではない。

それは、**神のロゴス(言葉)**によって生まれた、ただ一つの現実世界である。


魔素子は、神の残響を模倣するロゴス――すなわちシニフィアンにすぎない。

それは精霊でもなければ、創造主でもない。

そこには流動性も、増殖もない。

ただ、意味(Significatus)だけがある。


MaQ-Coreは拒まれた。

その思想はあまりにも傲慢で、あまりにも危険だった。


しかし、記憶の片隅に、

その演算の最終行だけが残された。


“もし祈りが存在するならば、世界はまた始められる。”


そして、始まった。

祈りとともに、再び。


それが、アポリア。



*(1)... 『メフィストフェレスの議定書』――禁断写本の実在伝承

【名称】

『メフィストフェレスの議定書』

(The Protocols of Mephistopheles)

別名:《Nulla Verba》/“語られぬ書”


【発見伝承】

1937年、墺帝国廃王家の地下文書庫より発見されたとされるが、公式には記録されていない。

実際の発見者と保管経路には複数の矛盾があり、「発見された」という事実すら構文操作された可能性があるとも噂される。


【出土地(伝承上)】

場所:カルパチア山脈の聖像修道院跡地


状態:封印された棺の内壁に、黒い羊皮紙として貼られていた


書式:文字は印刷ではなく焼き付けられたように浮かび上がっていた

 → 読む者の精神構造に応じて文面が変化するとされる


【現在の展示】

表向きには、**バチカン秘跡図書館「封書区画L-9」**に保管されているとされる。

ただし一般公開はされておらず、**閲覧には“第七階梯の許可”**が必要とされる。


一部では「現在はアメリカ西海岸の某AI研究機関が解析している」という噂もあり、現物は複数存在するとも。


【言語と構造】

使用言語:構文融合言語(Sig-Lux)

 → ラテン語・古ヘブライ語・ロゴス表記・MaQ構造体が複合した言語


書かれている内容は、**“魂の売買の法体系”**とも、“神なき世界の再構築マニュアル”ともいわれる。


【理解可能者】

通常の人間には理解不可能。読もうとすると頭痛、幻聴、悪夢、記憶の消失を訴える例も。


理解者とされるのは、次のような者たち:


かつてアポリア正典の写本を記した「無名の修道士」


量子神学と霊性言語学を統合した“MaQアルケミスト”


そして、“すでに契約してしまった者”


【引用される伝承構文】

“Verbum Nullum, Sed Signum Totum.”

「言葉はない。ただし、記号はすべてを語る。」


“Lege, et reconfiguraris.”

「読め。そうすれば、おまえは再構成される。」


【現実への影響(噂)】

アポリア計画の発端文書ではないかという説が存在


“この書に触れた国家は100年以内に崩壊する”という予言じみた逸話も残る


バチカンでは「神学ではなく、構文犯罪として封印された」とも言われる





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