アポリアの彼方外伝【魔炎弾と火薬なき戦争】― 魔力兵器の歴史と魂の技術 ―
「魔法がある世界に、火薬はいらなかった――だが、戦争は進化を止めなかった。」
火薬。それは現代文明を戦争へと導いた最高の発明であり、最悪の遺産である。
しかし、アポリアには火薬は存在しない。
なぜなら、“火”を放つ手段として、最初から魔法があったからだ。
― 魔力兵器の歴史と魂の技術 ―
第1節:火炎弾という時代
かつて、戦士たちは「ファイヤーボール」を会得しなければ前線に立てなかった。
炎を扱うには、精緻な精神統制と高い魔力量が必要だったからだ。
だが、その敷居は高かった。
誰もが魔法の才能を持つわけではない。
第2節:魔炎弾の開発 ― カートリッジ化の幕開け
ある錬金師が提案した。
「魔法を、カートリッジに封印して撃てたら――農夫でも兵士になれる」
この発想が、**魔炎弾(Inferno Cartridge)**の始まりだった。
魂の欠片を込めた結晶を封じ、これを「魔力カートリッジ」として保存・装填できる技術が開発された。
こうして、「魔法の民間転用」=武器の大量生産と商業化が始まる。
【第3節:問題の発生】
魔炎弾は便利だが、魂の欠片を使って封印されている。
長期保管で劣化すると、不発または暴発の危険がある。
さらに、「未使用の魔炎弾を売買する市場」が登場し、“兵器としての魂”が商品化された。
【第4節:魂と火の倫理】
ある賢者がこう記した:
「最も尊きは魂とされた。そして最も多く殺されたのも、また魂だった。」
魔法と兵器の境界が曖昧になったとき、
人々は問うことになるだろう。
「この弾に込められた“願い”は、誰のものだったのか?」
「それを使って、守るつもりか? それとも、奪うつもりか?」
本作は、アポリア世界における**「魔法の兵器転用」**を描いた寓話です。
火薬がない世界で、魔法=労働力/資源/兵器となる構造は、現代のエネルギー資源・軍需産業・AI武器論ともつながっています。
※本作およびその世界観、登場用語(例:メモリウム™、魂経済、共感通貨など)は、シニフィアンアポリア委員会により創出・管理されたオリジナル作品です。無断転用や類似作品の公開はご遠慮ください。




