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アポリアの彼方外伝【魂の価値と二人の賢者】――これは、アポリアの経済思想をめぐる、二人の賢者の対話

重農主義と重商主義の対話


――これは、アポリアの経済思想をめぐる、二人の賢者の対話。


◆◇◆


場所は、エンパシア旧都市圏の中央講堂。共感経済の記録庫として知られるそこには、今日、二人の賢者が招かれていた。


一人は、ルファス。農業と再生循環の専門家であり、「魂は大地に宿る」と唱える重農主義の担い手。


もう一人は、ミラノ。商業と通貨制度の改革者であり、「価値は流通に宿る」と語る重商主義の旗手。


聴衆には若い賢者見習いや、共感通貨の設計者たちが集まっていた。


◆◇◆


ミラノ「ルファス。君は、魂を“耕すもの”と呼んだ。だが私に言わせれば、魂は“運用するもの”だ。動かさなければ、世界は停滞する。」


ルファス「運用の果てに、魂がすり減ることは考えぬのか? 大地に無理をさせれば荒廃するように、祈りにも、記憶にも、限りがある。」


ミラノ「その“限り”を補うのが、制度の役割だ。私が設計した“祈り通貨”は、魂を保存し、信用によって再分配できる。経済の血液だ。」


ルファス「ならば問おう。その血液が腐敗したら? 誰が祈りの真偽を見抜ける?」


ミラノ「腐敗を恐れるなら、腐らせればいい。――“腐るMP”というアイデアがある。使用されぬ魂の価値は減衰し、大地に還元される。」


ルファス「……それは、消費と再生の輪を描くということか。」


ミラノ「そうだ。流通と自然の折衷案。君の大地と、私の市場。その境界線に、新しい魂経済が生まれる。」


◆◇◆


講堂に静寂が訪れた。


若者が一人、手を挙げて問う。


「お二人は、どちらが正しいとお考えですか?」


ルファスは微笑んだ。


「私は、“芽が出るほう”を信じる。」


ミラノも笑った。


「私は、“流れるほう”を信じるよ。」


そして、二人は同時に言った。


「だが、信じる価値があるのは、“祈る心”だ。」


◆◇◆





この物語は、アポリアにおける経済思想の対立と融合を描いた寓話です。

ミラノの「信用経済」とルファスの「魂の自然循環」は、現代における金融経済と再生可能価値の対話でもあります。

腐るMP、信仰による担保、そして魂の有限性。あなたは、どちらの賢者に耳を傾けますか?




※本作およびその世界観、登場用語(例:メモリウム™、魂経済、共感通貨など)は、シニフィアンアポリア委員会により創出・管理されたオリジナル作品です。無断転用や類似作品の公開はご遠慮ください。

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