03.一難去ってまた一難
先ほどの猫が心配になりキョロキョロ辺りを見回すと、少し遠くからゆっくり歩いてくる。
なんだか満足げな顔をしてる。
私の近くまで来ると、座り脚先をペロペロ舐めている。黒い体毛で見辛いがよく見ると少し血が滲んでいた。
「どうしよう、、。手当て。手当て出来るもの何かないかな?」
あわあわして周囲を探すも、手当てに使えそうな物はない。
「そういえば来る途中、水の音が聞こえた!」
近くに小川がないかペットボトル片手に探すこと20分。
無事小川を発見し、ペットボトルを綺麗にゆすぎ、水を汲む。
さっきの黒猫の元まで戻ると、怪我をしている箇所に水をかけようとペットボトルを持ち上げ水をかけた。
すると、黒猫が頭を下げて水を飲もうとしてくる。
「うっ、可愛すぎだろっ!!」
一生懸命、水をペロペロ舐めるように飲んでいる。
「あー待って!これ君の怪我した箇所にかけるお水だよ。飲んじゃったら、、、。」
そう言っているそばから水を寄越せと言わんばかりにペットボトルを持つ手をグイグイ
大きな頭で押してくる。
しかたなしに、水をちょろちょろペットボトルを傾けてあげる。
「怪我痛くないのかな?水めっちゃおいしそうに飲んでるけど、そんなに喉乾いてたのかな?」
ひとしきり飲んで満足したのか大きなあくびをして、伸びをしている。
先ほどまで少し滲んでいた血もどうやら止まったようだ。
一安心!
ひとまずこの黒猫ちゃんは私に危害を加えそうもないから、もう少しこの猫を
見ていたいと思い。また地面に腰を下ろして、さっき落として食べ損ねたので
ハイ○ューをもう一つ、包みから出して食べようとした。
「ヒッ!!」
すんごい見られてる!!
チュ○ルを狙う猫そのものだ!!
とっさに体でキャンディを隠すも、ゴロゴロ低い音で鳴いている。
そっと様子を伺うとクレと言わんばかりの顔でこちらを見ている。
「どっどうしよう~!さすがにダメでしょこれ! けどこんな顔している黒猫からハイ○ューを
守り切る自信がない!ていうか、、、っ」
頭突きをされた!体が横に揺れる!本気の頭突きなら吹っ飛んでるだろうから加減してくれてるんだろうけど、地味に痛い。
「頭突きしてもダメなものはダメだからね!め!め~よ!」
と言ってみても言葉が通じるはずもなく、強い頭突きで気が付けば地面に押し倒されていた。
危害を加えられる!っと身構えたが、衝撃はこず。
気付くと地面をペロペロしている。
そこには押し倒された衝撃で手から飛んで行ったハイ○ューがあった。
とりあえず危機は去ったようだが、残りのハイ○ューをバッグの奥深くへしまった。
ここにいるとまた黒猫に図らずも餌付けしてしまうかもしれないし、やっぱり大きな野生動物だもの
いつ危害が加えられるかわからないから甘未に気を取られている内に逃げよう!
そっと音を立てないようにペットボトルをバッグの中へ入れ、素早く立ち上がり後ろ向きで後ずさって逃げることに。(熊から逃げるときは絶対背中を見せるなってばあちゃん言ってたもん!と心の中で独り言をつぶやきながら逃走を謀る)
あともうちょっとで視界から猫が消えそうなくらい離れることに成功しそうだと思ったら、
3m先の茂みがガサガサっと揺れた。
「っ!!!」
なんと今度は本当の熊が出た!
体長2mほどの熊!
「終わった!」