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11:絶対アイス作れるヤツじゃん!


「ピー!」


 ピーちゃんの炎の羽が燃え上がり、アイスドラゴンが放った冷気の塊を熱で相殺する。


 俺の『マナブースト』によってピーちゃんは今までの倍くらい燃え上がってる。


 これは対象者の魔力量を一時的に増加させる魔術だ。

 ピーちゃんの炎は魔力の炎だから、それを強化するには魔力量をサポートしてやれば良い。


 ピーちゃんは余裕の様子で冷気を防ぎきってくれた。


「ん? なんか呼んだか?」


 そういえば、レオンの声が聞こえたような気がするけど。


「ア、アシエ!? なんで君がこんな場所に……これは幻覚か……??」


「本物だよ!!」


 その証拠にほっぺを引っ張ってやる。


 なんかヤバそーだったから一応助けてやったってのに、失礼なヤツだな。


「いででで!?!?」


「これで分かったろ?」


「な、何をする!? 俺は勇者パーティのリーダーで……!!」


「知ってるっての。けど、もう俺は勇者パーティの仲間じゃないんだろ? レオンは俺のリーダーでもなんでもないんだよ!」


「そ、それは…………!!」


 だから好き勝手やらせてもらう。


 と言うか、人のことめちゃくちゃ言って追放したクセによくまだリーダー面ができるな!?


 どんな神経してんだよ?


「ギャオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!」


 突然の乱入者に驚いているのか、それともダンジョンに土足で踏み入られて怒っているのか。


 どちらにしても殺気満点の咆哮だ。


「それにしても、すっげぇ冷気だ……!!」


 奥までくると入口の方とは別次元の寒さだった。


 ピーちゃんが燃え上がっていても周囲の氷は解ける気配がない。


「こんなの……」


 絶対に……


「絶対に最高のアイス作れるヤツじゃん!!!!!!」


「ギャオ!?!?!?」


「はぁぁ!?!?!?」


「アイスドラゴン! 俺の言葉が分かるんだろう!? 俺のカフェで一緒にパフェを作ろう!!」


「ギャ、ギャオ!?」


「はぁ!? き、君は何を言って……」


「うるせぇお前は黙ってろ!」


「はひ!?」


 ドラゴンは知能が高く、そして同時に誇り高いモンスターだと言われている。


 このアイスドラゴンは特に知能が高いみたいだ。


 目の前にある氷の残骸がその証拠。


 おそらく、コイツはレオンの必殺技を見切って氷の盾で防いだのだろう。

 だから盾は粉々になっても、本体は無事だった。


 レオンの聖剣は確かに強い。

 特に単体攻撃に特化したその一撃の威力は人類最強かもしれない。


 だけど……その攻撃は単調で、そして燃費がかなり悪い。

 普通の攻撃はそこまで強くないし、強力な必殺技を使うと一気に消耗してしまう。


 そして消耗しすぎると今みたいに動けなくなるワケだ。


 レオンの聖剣は使い方がかなり難しい武器なんだよな。


 だからパーティのみんながサポートして、ここぞと言う時に必殺技を使わないといけない。


 だけど……


「やっぱりお前1人じゃそれができなかったみたいだな」


「……え?」


 だからドラゴン1体に負けそうになるんだよ。

 今までもみんなに助けてもらってきたのに、それを自分の実力だとカンチガイして調子に乗るからだ。


 このアホ面を見るに、それすら理解してないみたいだけどさ。


 ま、どうでも良いか!


「アイスドラゴン、俺はお前を助けに来た!」


 知能が高いということは、コミュニケーションがとれるという事でもある。


 だったら説得できるかもしれない。

 説得と言うか、勧誘だけど。


「このままじゃお前は騎士たちに討伐される。だから俺と一緒にパフェを作るのを手伝ってくれ。そうすればお前の食事は俺がなんとかする。危険なドラゴンじゃないって証明もできる。俺にはお前の力が必要なんだ!!」


「ギャオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!」


 うーん、説得は失敗かな?


 やっぱり言葉で説明したところで、ドラゴンがそう簡単に人間に従ってくれるワケないか。


「ま、こうなるよな……」


 だが王宮騎士の中には竜騎士というドラゴンを手懐けて共に戦う騎士もいるらしい。


 手懐ける方法はシンプル。

 そのドラゴンに主人として実力を示す事だ。


 つまり格付け。


 確か「ゴブリンでも分かる竜騎士入門」にそう書いてあった気がする。


「よし! 俺が上司として頼りないって言うなら、力比べといこうか!!」


「ギャオ!?」


 俺は両手を広げて受け入れるポーズを取って見る。


 少しの困惑の後、アイスドラゴンはそれを挑発と受け取ったようだ。


 敵意がないことを表したかったんだけど「お前なんて警戒するにも値しない」と、そう見えたのかもしれない。


 まぁ良いぜ!


 今日の敵は明日の従業員。


 ドラゴンの流儀で語り合うことにしよう。


「さぁ、来いよ! 格付けバトルしようぜ!!」


「ギャオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!」


 今度は俺の言葉を理解してくれたのか、躊躇も遠慮もない冷気のブレスが放たれる。


 さっきよりも更に魔力の密度が上がっているな。


 だったら俺も、手加減してられないぜ。


「俺もマックスで行くぞ……!!」


 ドラゴンを丸焼きにする究極火炎魔術をさらに改良した俺のオリジナルの炎魔術だ!


「超究極火炎魔術!! 『ヘル・フレイム・インフェルノ』!!!!」


 ジュ……!!


 顕現した地獄の炎が氷の洞窟を溶かし、暴力的な冷気のブレスとぶつかりって爆発的な水蒸気を巻き起こす。


「う、うわああああああああああああああああああああああ!?!?!?!?!?」


 なんかレオンが叫んでいたけど、勇者ならこれくらいで死んだりしないだろう。


 水蒸気がおさまると、アイスドラゴンは粉々に砕けて溶けていた。


「げっ!?」


 しまった!?

 やりすぎたか!?


 と、巨大な氷の真ん中が砕けて、中から一匹の小さなドラゴンが現れた。


「……もしかして、お前が本体??」


「ギー!」


 どうやら今まで戦っていた巨大な氷のドラゴンは、この幼竜が作ったハリボテの姿だったようだ。


 全く、末恐ろしいドラゴンだな。


 でも、無事で良かった。


 小さな体を両手でやさしくすくいあげると、アイスドラゴンは手の中で俺に頭を垂れる。


「ギャオ!」


「よし、交渉成立だな!」


 こうしたアイスドラゴンが仲間に加わったのだった。


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