984/984
その心を
何とか距離を取れたとは思う。
本来は眩い光で人を魅了する黄金は、暗闇の中では発揮されないらしい。
そういえば電気とか無いなと思った。
月の化け物と戦った廊下の1つ下。
ペルシャが私を抱えて飛び降りたのだ。
声が出そうになったけど、ここで出す訳にも行かず両手で必死に口を抑えた。
それでも地面が近づくにつれて死がよぎったけど、ペルシャは風魔法を使い、着地。わざと大きめの痕跡を残して直ぐに黄金郷に入った訳だけど。
「多分今、ブレットは青髪の少女を全力で月の化け物から離した思う」
「え、どうやって……」
「まあ、死にかけとはいえグロリアス先生もリーナーも神父も居るし何とかしたでしょ」
「し、死にかけって……」
いから事実でも尊敬欠けらも無い。
男衆に面識はないだろうけれど、グロリアスは先生と言っていたのに。それすら冷めている。
立ち直ったと思えても、見えていても、そうじゃないんだ。
私はペルシャをぎゅっと抱きしめる。
強ばっていたペルシャは急に力が抜ける。
「は?」