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月の化け物
「リーナー、随分と大物のお友達が出来たようだな」
底冷えする低い声。
恨み辛み、この世の負の感情を煮詰めたような声。
声はするが、姿が見えない。
「月の化け物……!!」
リーナーが声の主を恨めしげに吐き捨てると、リーナーの前に突如として青い髪の少女が姿を現した。
いきなりの事に誰も反応ができない。
トンっと軽くリーナーを押しただけ。それだけなのにリーナーは後方へ吹っ飛んでしまった。
「ヤロウッ!」
ブレットが青髪の少女へ拳を振り上げるが、寸でんのところで動きが止まる。
「女性に暴力ですか。いけませんね」
そう言って、もったいぶって現れたのは頭の形が三日月そのものの化け物。
月の化け物だ。