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誰かがここに居た
誰かの記憶の中にいる。
誰かの体、視点から物が見えている。
これは私じゃない。誰でしょうか。
『これは、いい素材になりそうだ』
男の声。そして、聞き覚えがあるような、無いようなそんな声。
男は極寒のこの洞窟にいた。
まだ、神殿は無い。目の前は少し浮いているように見えるシャボン玉の様な魔力の塊。
『えっと、あの子の言う通りなら、コレを『セレスト』という小娘にしないといけないんだっけか。全く無茶させるよ』
男は杖を取りだした。私の杖にも、ママの杖にも似た形状と色。
『バカ娘には程々呆れる』