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心象世界
あちこちから轟音が聞こえるし、建物自体が振動してる。
皆戦闘になったんだと思う。
「いっしょに、いこう?」
えっ、真横から聞こえた声に反射で振り向く。
気配はなかった。
殺ろうと思えばやれた。
振り向けばセレストの姿がある。しかし、なにか違う。
そうだ、大人になっている。
精々中学生くらいの背丈だったのに、長身になっている。
閉じた目、微笑む口。差し伸べる手。
薄氷の上に現れた精霊そのもの。
雪山の、凍った池の上に居るみたいな錯覚を覚えて辺りを見る。
「……っ!!錯覚じゃない!!」
正真正銘、今、私はどこぞの雪山に居た。