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素のリーナー
勢い込んだグロリアスは拍子抜けしてしまった。
リーナーが完璧に背後を取って蔦を巻き付けたからだ。
ギシッと軋む程に縛り付けられ苦悶の表情を見せながらもジタバタと暴れるスカーレットにたじろぐグロリアス。
「おいっ!何してる!!何か道具を使えよ!錬金術士!!」
温厚なイメージのあったリーナーの素の感情に当てられ、普段ならば一つや二つ言い返すグロリアスも、コクコクと頷き、ローブの内ポケットからフラスコを取り出して、そのまま投げつける。
パリンと割れ、中の白い液体が気化して足元を覆った。