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ペルシャvsセレスト9
「温存なんて無理。ありったけを」
袖に付けていた魔石全てと、火球が封じられている瓶。
今ある使える素材はこれだけ。
まるで方向性がない。失敗の確率も低くない。
そもそも、狙うのは気絶。
殺すよりも難しい。脳震盪も考えたけど、セレストは恐らく雷を纏わせてる。魔装の前段階に思えた。
「触れる事はやめた方がいい。私が客に感電して気絶する」
ペルシャは不意打ちでもなんでもいいから倒す事を目指す。
魔法の打ち合いでは普通に負ける。
魔力もセレストの方が上。
唯一勝る点は「錬金術」1点のみ。
魔法には無い柔軟性と、意外性での初見殺ししかない。
出来るか、そう不安が纏わりつく。
錬金術士は考える生き物だ。だから余計に無駄なことも考えてしまう。失敗や恐怖。
挙句、自分の死ぬビジョンすら見えてくる。
「時間もない、余裕もない、ただ、やるのみ」
自分に言い聞かせて透明な錬金釜へ向き合う。