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ペルシャvsセレスト6
走っても走っても場所が移動していない気がする。
もうどれだけ腕を振ったか、脚を振り上げたか。
荒い息を整えるように膝に手を着いて辺りを見回す。
割れた窓、焦げた壁、湿った床。
セレストと戦闘があった場所に戻ってきてる。
焦る気持ちにイライラが募って冷静じゃいられなくなりそうだ。
幸いセレストも同様グルグル同じ場所を回っているのか遭遇しなくなった。
「この空間が魔法じゃないことを祈りたいけどね」
乳酸の溜まった足は重い。
むやみやらたに動いてはダメだ。かと言って止まるのも悪手に思えた。
「一か八かやってやるしかないか」
ペルシャは瓶を取り出した。
魔石も確認した。
これからやろうとすることは博打だ。
もし失敗すれば自分自身へのダメージも計り知れないだろう。
いまもセレストの火球を近距離で対処した時の肌を焼かれた感覚は無くなっていない。
「間に合えよ……」
ペルシャは空に錬金釜を創造する!
簡易調合で切り抜ける為に。