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敵
黄金郷、神殿に至る回廊にて。
青髪の少女は目を閉じ、無感情の表情を崩さず動き出す。
「青、ネズミが這い回って困ってるんですよ」
そう発した男の頭は三日月の形をしている。
男に人間時代だった顔は無い。だから表情から感情を伺うことは難しい。
もっとも青髪の少女はその目を閉じているから見ているかは謎だ。
青髪の少女はゆっくりと腕を水平にあげる。
指さす方は壁。
その向こうに居る白夜とペルシャを指さしている。
「別にここがどうなろうと、あの錬金術士が使おうと私はどうでもいいんですけどね、あの男はうるさい。なので、さっさと殺してきなさい。ここは目がチカチカして休まりませんからね」