899/985
怖い
ペルシャは杖を構え、目を閉じて集中します。
魔力の流れが体の中心から杖へ。
その時、袖の『太陽の涙』へも流れます。
『照らす、陰らせる。唯一無二であり、絶対的な平等である。最も親しい友であり、他者を一切受け付けん』
長い文言と共に魔法が発動する。
カッっと赤い閃光が迸る。
そばに居るだけで、目が焼かれると思うほどに明るい。
とてもじゃないけれど、目を開けていられなくて腕で庇う。
光が収まったとき、壁は溶解し、脱出することができるようになった。
とてもすごい威力だと思う。
ペルシャは何が起きたのか理解できないのか、視線を杖と壁に何度も往復している。
「ペルシャさん、すっごいじゃないですか!」
「……怖いわ」