891/894
いざ
「水魔法って使えますか?」
「初歩的なものならね」
ぼんやりとしか見えない釜を観察しながら私はペルシャに訪ねます。
何はともあれ水が有れば行けるだろうと「感」が告げます。
ペルシャは杖を顕現させて呪文を唱えます。
フワッとペルシャの周りに魔力の流れを可視化した気がしました。
「ありがとうございます。それにしても釜に入れると入れたものも見えないんですね」
「……不思議ね。ちょっと疲れた」
ペルシャは顔色悪そうにそう言い、倒れそうになったので手を伸ばして地面に激突だけはさせまいと体を下敷きにします。
思ったりよりも重い。
「あ、ごめん。それと、よからぬ事を思ってないでしょうね」
「あはは、なんのことかわかりかねまーす」