錬金術士の名折れ
「きゅ、急に態度を変えるじゃないですか……」
諦めかけていた瞳に火が灯る。
目付きが変わった。態度も変わったけど。
「貴女になら期待してもいいと思えたのよ。白夜」
「……はいっ!!」
ペルシャは起き上がって私の肩に手を置いてそう言った。
ギュッと強く掴まれた肩に、期待と何かしらに対する怒りを感じた。
痛かったけど、それよりも私を信用してくれたことが嬉しかった。
抱きつきたいけど、その、あまりにもボロボロすぎて自重しました。
「ここから起死回生をかけるならまずは私達の置かれている状況を説明する必要があるわね……」
「……その前に着替えませんか?」
ペルシャが説明を始める前に、私は提案をする。
出鼻をくじかれた事に、ムッとした表情をする。
よくよく見ると、薄汚れているけれど相当に美人な顔立ち。
その顔が歪むと中々にこう、なにか、感じるものがある。
マジマジ見るのはやめておこう。身のためにも。
「あるように見える?」
「そこはほら、私達じゃないですか」
「簡易調合ができるの?流石というか」
腰に手を当てて詰め寄ってきます。少し臭い。
逆に詰め寄ってやれば、ペルシャは仰け反ります。
フフンと得意げにママのとっておきを呼びますが返事がなく、そういえば変な空間に飛ばされたんだと思い出しました。
ダラダラと嫌な汗が流れます。
「ミラクルっ!……居ないんでした」
「ダメじゃない」
冷ややかな目。なんでしょうか。ゾクゾクします。
行けない扉が開かれそうなので、それ以上そんな目で見ないで欲しいです。
冷静を保つまでに思いつくことをそのまま口に出します。
「要は液体と素材が有ればいいんです。やって見せますよ」
言ってみれば簡単に思えてきましたね。
出来るかは未知ですが、だから辞めるとなっては錬金術士の名折れです。