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私はママとは違う錬金術士だ
黄金郷に入ったら、空間が捻れて出口も入口もない真っ暗な空間に飛ばされる。
不味いと思うも、どうしようもない。
「なんで来たの、ティア」
目が慣れた頃に、真正面からそう呼ぶ声。
声の主は私をママと勘違いしている。
つまり、この人もティア・愛音・シャドールに繋がりのある人。
「私、私は……白夜。ティア・白夜・シャドール」
誤魔化すことも考えた。ママと勘違いしているなら勘違いさせたままの方が都合が良かったのかもしれない。
けれど、ママの名前を語ることは許せなかった。
私はママとは違う錬金術士だ。