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異常な平常心
「ねぇ、見てよ!」
私は恐怖した光景を1人だけの物にしたくなくて、指を指す。
どこを指したとして同じこと。
建物は疎か、ここに住んでいる。住んでいただろう住民の全てが金塊となっていたから。
一同同様に息が止まる。
「……ティアみたいに素材がいっぱいだとかは言わないんだな」
場を和ませようと冗談を言うブレットだったが、蛇足だった。
ツッコミどころか誰も耳に入れてないだろう。
そんな余裕はない。
何が起きたのか、敵の術なのか。この状況は危険なのかどうなのか。
その判断が出来ないのに、平常心に戻っているコイツはおかしいと思う。
「ブレット、度胸だけなら俺より上だな」
「師匠がビビりになったンじゃないか?」
「フン、言うようになる」