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奥義
「もう!魔力3分の1も使うからね!」
日ノ本梅がそう叫んで中腰になり、刀を腰の位置で構える。
みるみる内に魔力が高まり刀身が赤いオーラで包まれる。
ゴゴゴと日ノ本梅を中心に少し振動する。
それは余りにも速く、目に捉えられるのはゆっくり振られた一太刀だった。
その実態は何千という閃撃。
魔力の刀がほんの数秒間だけ倍々に増えていく奥義。
魔法と陰陽の技の究極系。
そして、その斬撃には日ノ本梅の特性が込められる。
魔を切る刃。
部屋の霜はキラキラと雪のやうに舞い、地下へと続く道を強制的に開くことにも成功した。
「……ツ!ハァ!!ハァ!!…………グッ」
日ノ本梅は尋常じゃない量の汗をかき、その場に崩れてしまった。
呼吸がまともに取れていない。