858/988
そして戻る
「いつか必ず助けてあげてね。………だから」
最後の言葉が聞き取りずらく、何を言われたか正確に聞こえなかった。
声を上げても手を伸ばしても届かない。
堕ちていく。
ズッと激流に呑まれたみたいに圧力がかかる。
魔力の奔流。
目を開けられなくて、落ち着いた時、そこは冬華さんのカフェの前だった。
「戻ってきた……」
あの黒霧も、天国のような花畑ももう無かった。
「ティア!!」
その声はいつも私を嬉しくさせてくれる。
振り返ると視界が覆いかぶさって、転倒してしまいます。
何事!?と思ったのも一瞬、クレアちゃんが抱きついてきたのだ。
わわっと、驚きと嬉しさと。安心が押し寄せてくる。
私は抱きしめる。
この温もりだけは絶やさないと誓いながら。