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遠い過去5
娘は娘の形のまま、別の存在へと変わる。
主人が娘へ手を伸ばし、触れた瞬間。
まるで前後に何も無かったように、無くなった。
黒い霧に覆われた少女は歩きだす。
復習に囚われた悪鬼の如く、全てを飲み込んで。
黒霧の少女が立っていた家はもうただの空き地とかして、大地の魔力ごと吸収してしまった。
ヒシヒシと歩く度、黒霧の範囲は広がり、終わっていく範囲も増える。
「……現代の黒霧よりも強力だ」
事件のファイルを見たとき、人は干からびたと記されていた。
消されたとは無かったはず。
「起源……原点?」