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遠い過去2
コンコン。
許可も取らずに家に推し入ってから気付かせるためににドアをノックする男。
家の主の服装はかなりの昔の人っぽいのに、尋ねてきた男は現代風の格好だった。
さらに言えば、「……空っ!?」自称天才陰陽師の顔に瓜二つだったのだ。
「神などあってはならないと思いませんか」
「……」
「なぜ黙るか。ああ、娘の魂が神となったとお思いが故か」
「黙れ」
「もう、薄々気がついてませんか」
「……黙れ」
「神など居ないと」
「黙れっ!!ならばなぜ娘は死なねばならなかった!!春が来て飛び跳ねて、夏が来て笑い、秋が来て駆け回り、冬が来て雪で遊ぶ。それだけで充分だと言う女の子が何故!!」
「神を信じるからですよ」
「ハッ!」
最後の言葉、その行き先は私だった。
ハッキリとコッチを見て言った。
これは過去のことだろう。過去起きたことを見ているだけ。
その当時私は居ないですし、見られていると仮定して喋りなんてしないだろうに。