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蘆屋道満の子孫、蘆屋道隆
神いずる国、出雲大社。
そこには異変をいち早くキャッチした人物がいた。
「神の御前だと言うのに……」
怒りを押し込めた言い草で自然と拳に力が入った様だった。
男は長身で筋骨隆々。鍛え抜かれた体はそれだけで魔を滅する事が出来そうだった。
現代社会において神は曖昧だ。
見ることはおろか、感じることすらできやしない。
しかし、居る。そう思わざるを得ないのは昔から変わらない。
人払いされた境内にて対峙する。
崩れかけたシルエットと、ティアが支配下に置いていない地区の陰陽局の陰陽師。
蘆屋道満の子孫、蘆屋道隆。
「ちとばかし、手を貸してもらうよ」
握りこんだ拳を開いて印を結ぶ。
道隆の影から真っ黒な蛇と熊が現れた。
蛇は優に3mは超えていた。
乙女のような声で囁いた。
「食べてしまえばいいのですね」
こちらも3mはある熊が豪快に言う。
「先に俺が喰っちまうさ!ガッハッハッ!!」
「んもう、野蛮ですわ」