833/984
指名
「これは中々……。やはり錬金術は恐ろしいものだ」
ティアとクレアがきゃいきゃいと騒いでいるのを横目に賢者は氷の樹木を見て呟く。
どこか憎々しげに。
「賢者、成功ですね!」
ミホさんは元々水の魔法に長けていて、その上に『移動』という起源を持っていて、その2つで最強だと思っていましたけれど、その魔法使いの頂点はさらに凄かったですね。
多分、全力では無いんでしょうね。
ミホさんもあの水の牢獄は作れるんでしょうか。
「……私は戻らねばならん」
「えっ」
「すまんが、自体は深刻だ。後手に回っておる」
「そうですね、こんな裏世界に来ているんですから、表はもっと酷いかもしれない」
議論を進めていると、また地揺れが襲う。
短い時間でしたけれど、まるで、バランスの崩れた平均棒の様に世界が揺れている。そんな気がします。
「一応ここにも魔法使いを派遣して護衛させる」
「あ。生徒達って」
「心配せんでも一時的に統括会へ行っておる。ただ、2人ほど役目があるといって静止を振り切って表に行ってしまったがな」
「不味い!」