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黒よりも黒く
表に出た時、景色は一変していた。
「なにこれ、真っ暗……」
「重い、というか鬱蒼とする感じね」
空は夜よりも暗く、私怨を具現化したかのような黒さに感じた。
「ねぇ、あれって」
クレアちゃんは何かに気付いたようで私の肩を掴んで無理やり向きを変えてきました。
痛いですけど。
そんな文句は言えなかった。
クレアちゃんの声は緊張を孕んでいて、私はその光景を酷く怖いと思ってしまったから。
嫌な事はどんどん思い浮かぶ。
嫌な可能性は頭の中に溢れて飽和して、血を巡ってるんじゃないかと思った。
「……どうしているの?乃愛」