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対等
「他のもの達は?」
賢者が問う。
ここに戻ってきた理由を思い出した。
話しながら各部屋を見回っていく。
「もう耳に入っていると思いますけれど、黒霧の発祥の地に居ます」
「……もう目星がついていたのか。あのものも曲者か」
私の後ろをついてまわる賢者は、私の懸念を言い当てる。
「ここに危機はないぞ。何があったかは知らないがね。互いに話がありそうじゃな?」
急いでいるのに、話している時間は惜しいのに、対話せざる得ない覇気は流石と言うしかない。
目の前にいるのは魔法使いの頂点なのだと改めて認識する。
けれど、それは魔法使いのなかでだ。
「時間が惜しいわ」
「ちょっと、ティア!?」
「フッ、この儂に1歩も引かんとわな」
溢れ出る真っ白な魔力はなりを潜めて、ふにゃりと優しく笑う。
「ティア!生きた心地がしないわ!!今後はやめてちょうだい!」
「あれま、クレアちゃんに怒られてしまいましたね」
「風の巫女も感情豊かでけっこう」
「……うぅ」