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思い違い
私はトーマスからお父様がどんな人物だったかを聞いた。本当かどうかは分からない嘘かもしれないでも、本当ならば最悪だ。
確かに私はお父様がどんな仕事をしているか知らない。フラッと出ていきフラッと戻ってくる。
「魔法使いや、魔術師は大概金持ちだ。その金で研究や、技術の向上なんかしてる訳。で、君の父親は、まあ、言ってしまえばマッドサイエンティストみたいなものだったよ」
「……この場所もお父様が作ったとでも?」
私はこの気味の悪い部屋を見渡す。
「さあ、どうだろうね」
ニタニタと馬鹿にしたような笑いを浮かべはぐらかす。
殺意が内側からマグマの様に煮詰まっていく。
「普通魔法使い達は家をこんな目立つようにしない。だからね、原因はこの家だよ。目立つから狙われた」
「狙われた……誰に」
「月の化け物」