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乃愛
「痛いっ!痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いいいい!!」
乃愛は蹲り、悲鳴に近い声を出す。
屋敷を見た途端酷い頭痛が襲う。頭の外から内から痛みが響き、刺す。
目も開けていられない。次第に声すら上げられなくなった。
あの屋敷を私は知ってる……。
暫くすると痛みが引いた。また黒霧に助けられたのかな。
「それにしてもボロボロですね」
門は倒れ、屋敷に続く道は1本の抉れた線が出来ていた。
左右を見渡せば、人がいた頃はさぞ綺麗な花々が咲いていただろう花壇は無惨に荒れていた。
……人がいた頃?なんでいない前提で話を進めたんだろう。見るからに廃墟だから?
「……ここに全てが?」