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表裏非一体
兎も角追いかけなければ行けません。
ヤツも黒霧を追っているとしたら、黒霧を使って悪用するかもしれません。
そうなったら目も当てられない状況になるでしょうから。
こんなにも表世界は薄暗かったかなと今になって思いつつ、館に足を踏み入れればそこは、前回入った時とはまるで違う姿を見せました。
「待て!下がれ!」
玄関を潜ればそこは街が広がっていました。
私は言葉を失います。それは、フォールスも同じ様で立ち竦んでいました。フォールスにしては珍しい事で、不安が立ちこめる。
左右にやたら尖った屋根の家が複数建ち並び、そのどれもが歪に歪んでいる。黒の魔力が溢れんばかりに篭ってる。
ここは、家の中の筈なのに空もある。ここの空は赤黒く、この世のものでは無いように見える。